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散々泣いて、久しぶりに少しだけスッキリした気分だった。マサも、太鳳ちゃんも、福士くんも、真面目に話を聞いてくれて、太鳳ちゃんはずっと手を握っていてくれた。
やはりこの前の飲み会の時、私が突然落ち込んだことも気にしていたようで、この話を聞いて納得したような顔をしていた。
「健くんには言わないで。健くん、神木さんと仲良いから」
「わかった。言わない」
太鳳ちゃんが優しく髪を撫でてくれる。その感触が心地良い。
「話聞いてくれてありがとう。少し楽になった」
そう言って微笑む。
その日はそれで解散して、それぞれ帰路についた。
あれから一ヶ月。
一週間前から自分の家に戻ってきていた。
誇りを被っていたインテリアや雑貨類もきれいに掃除をして、思ったよりも安定した生活を送っている。
ただ起きて寝るだけの単純なサイクルを繰り返すだけでも、自分の家というのは安心できるものだった。
いつも感じていた劣等感や疎外感、その他のぐちゃぐちゃした感情はあまり感じなくなっていた。
マサや太鳳ちゃん、福士くん、健くんと連絡をとったり、たまにみんなで集まって食事もした。そんな関係がなにより嬉しくて、私の安定剤だった。
才能のある人に嫉妬しないわけじゃない。劣等感や疎外感を感じないわけじゃない。もちろん、今でもそういう気持ちはあるし、一生消えないと思う。
ただ、前よりも気持ちの上下が小さくなった。
小さなことでも、私にとってとても大きな成長だ。
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鼎(プロフ) - 自称 神木隆之介様 依存症さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2016年5月18日 6時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
自称 神木隆之介様 依存症(プロフ) - この小説大好きです!!更新楽しみにしてます!!頑張ってください!! (2016年5月18日 0時) (レス) id: dbd5180fdd (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - すずやさん» ありがとうございます!のんびり更新ですが頑張って更新していくのでよろしくお願いします(^O^) (2016年5月14日 0時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
すずや - すごい面白かったですー。更新楽しみにしてますー! (2016年5月13日 23時) (レス) id: eddc991718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼎 | 作成日時:2016年4月12日 22時