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『高校なー、それなりに遊んで、それなりに勉強して、それなりに派手に過ごしたって感じかな』
『派手って…』
『週4で学校終わり遊んでたんよ』
『何して』
『男とゲーセン行ったり男とショッピング行ったり男とホテル行ったり?』
『なっ』
『あ、今引いたやろ。みんなそういう反応する』
ハヤトをからかうようにリンは笑う。
『あ、当たり前だろ。なんでそんなことしたんだよ?』
『なんでって?んー、そやなー』
リンは人差し指で自分の毛先をいじりながらフと視線を落とす。
『…寂しかったんよ』
『は?』
『あのころのウチはなんもなかったんよ。なんもなくて、寂しくて、それを埋めるために必死やった。なんでもした』
『………』
初めて聞くリンの切ない声。初めて見るリンの切ない表情。ハヤトがかけるべき言葉を知っているはずもなく、沈黙が続く。
『俺も、高校入る前に、幼馴染引っ越しちゃって、寂しかった』
やっとの事で口から出た言葉は、言葉に出してから後悔した。もし、リンがあのリンだったら、気付くかもしれない。もしかしたら、触れてはいけないことかもしれない。
しかし、リンの口から零れたのは、予想外の、だけどハヤトにとっては、嬉しいのか、そうではないのか、複雑な言葉
『…そうなん?』
『あぁ』
『…女の子?』
『そうだよ』
『好きだったん?』
ハヤトは言葉を詰まらせ、リンは返事を待つようにハヤトの顔を見つめる。
『好きだよ』
リンが覇気のない声でそう…と呟き、ハヤトから視線をはずす。
『なら、しかたないなぁ』
もうつきまとったりせんよ。そう言って微笑む。今まで一度も見たことのない、儚い笑顔。
そんな前から続いてる現在形なら、ウチに勝ち目ないもんな。と付け足す。
『友達になら、なってやるよ』
立ち上がり、歩き出した背中に呼びかける。
リンは振り向いて、いつもの顔で笑う。
『偉そーな男は幼馴染に嫌われるんよ?ウチがアンタにモテる男の秘訣教えたるわ』
なんの根拠もない情報や秘訣を適当に連ねる。
それがリンなのだと、自分の知っているリンとは別人なのだと自分に言い聞かせ、ハヤトはリンに向けて微笑んだ。
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鼎(プロフ) - 自称 神木隆之介様 依存症さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2016年5月18日 6時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
自称 神木隆之介様 依存症(プロフ) - この小説大好きです!!更新楽しみにしてます!!頑張ってください!! (2016年5月18日 0時) (レス) id: dbd5180fdd (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - すずやさん» ありがとうございます!のんびり更新ですが頑張って更新していくのでよろしくお願いします(^O^) (2016年5月14日 0時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
すずや - すごい面白かったですー。更新楽しみにしてますー! (2016年5月13日 23時) (レス) id: eddc991718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼎 | 作成日時:2016年4月12日 22時