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「共演者、聞かされてなかったので、正直驚いてるんですが」
「それは俺も同じです。まさかとは思いましたが本当にあなただったとは」
「あの時はほんと失礼しました。ほんとは普通ですので普通によろしくお願いします福士くん」
「よろしくお願いします、Aさん」
まさかのまさか、だ。
ビッチ役の相手が福士くん。
誠実な男、ハヤト(福士くん)と、ビッチな女、リン(私)の物語。驚き桃の木山椒の木。
二人は幼馴染で、中学卒業まで同じクラスで仲が良かった。家も隣だったため休みの日や暇な日などはよく一緒にいた。その頃はリンも普通の女の子だった。
高校から、リンの父親の転勤が決まり、二人は別々の高校へ通うことになる。
ハヤトは東京。リンは関西。
大学生になり、2人で通おうと約束した東京の大学で再会を果たすハヤトとリン。しかし、リンは変わってしまっていた。
型にはめたような笑顔に関西弁。明らかに男ウケを狙ったあざとい化粧。黒かった髪は綺麗なグレージュに染まっていた。
そして何より、「初めまして」というその言葉。
同姓同名?人違い?
『なぁ、お兄さん、別品さんやね。ウチと付き合わへん?』
『は?別嬪ってオンナに使う言葉じゃないのか?』
『昔は男にも使っとったんよ。別嬪の嬪は高貴な女性を意味するけど、品にすると昔の言い方やから男の人にも使うの』
『へぇ』
『それで?告白の返事は?』
『…考えさせてくれ』
初めて会ったかのような振る舞い。
ハヤトは、このような女は知らない。
ハヤトの知っているリンは関西弁を話さなかったし、初対面の相手に簡単に告白するような奴じゃなかった。
…他人の空似、というやつだろうか。いや、そうであってほしい。
次の日、ハヤトはリンを振った。
初めて台本を読んだ時、この監督ふざけてんのかな。と思った。
関西弁が適当だった。『わからないから適当に(^_−)−☆』とか書いてあった。ふざけるな。顔が腹立つ。
関西弁、話せないんだけど。
「福士くん、関西弁ってどうしたらいいと思います?」
「俺に聞かないでください」
ですよね。そう呟いて、台本を睨んだ。
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鼎(プロフ) - 自称 神木隆之介様 依存症さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2016年5月18日 6時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
自称 神木隆之介様 依存症(プロフ) - この小説大好きです!!更新楽しみにしてます!!頑張ってください!! (2016年5月18日 0時) (レス) id: dbd5180fdd (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - すずやさん» ありがとうございます!のんびり更新ですが頑張って更新していくのでよろしくお願いします(^O^) (2016年5月14日 0時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
すずや - すごい面白かったですー。更新楽しみにしてますー! (2016年5月13日 23時) (レス) id: eddc991718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼎 | 作成日時:2016年4月12日 22時