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「坂下さん、神木さんに品川にいることバレちゃったよ〜」
「え?何?どういうこと?ていうか酔ってる?」
「なんか話の成り行きで言っちゃった…酔ってる」
「まず神木くんに会ったの?」
「志田ちゃんが飲み会に連れてきた」
「なるほど…」
坂下さんが待つ家に帰るなり、とにかく聞いて欲しくて話し始めた。話さないで隠しておくことも出来たが、坂下さんに隠す意味はない。
「…付き合ってるんだって」
「え?」
「志田ちゃんと神木さん、付き合ってるんだって」
「…は!?」
「びっくりじゃない?神木さん、この前私に告白してきたんだよ?半年も経ってないんだよ?振った私にこんなこと言う権利ないけどさ、自分のこと振った女はすぐ忘れて次の恋探すの?男ってそういうものなの?時間経たないうちに忘れられちゃうの?」
自嘲気味に話していたつもりが、途中から涙声に変わっていた。
「でも、神木さんのこと振ったくせに、自分から突き放したくせに、神木さんのこと嫌いになれない自分、大嫌い」
私の仮定は間違っているかもしれない。
もしかしたら、志田ちゃんがストーカーに合っていて、それから守るために幼馴染の神木さんが彼氏のフリをしているのかもしれない。
もしかしたら、その逆もあるかもしれない。
もしかしたら。もしかしたら。
可能性はいくつでもある。
そう、直接話を聞いたわけじゃない。
でも、それでも、考えずにはいられない。
ついこの間、自分に告白してきた人が少し後に他の人と付き合ってたら、たとえ知らない人だったとしても、嫌な気持ちになるじゃないか。なんなんだこの人はと考えるじゃないか。
それでも、私は自分の考えを否定する。
「私、神木さんと出会わなければ良かった」
あの日オープンキャンパスに参加しなければ良かった。
あの日のスカウトを断れば良かった。
映画に興味を持たなければ良かった。
地元の大学に行けば良かった。
神木さんが出ていたあのドラマを見なければ良かった。
神木さんのファンに、ならなければ良かった。
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鼎(プロフ) - 自称 神木隆之介様 依存症さん» ありがとうございます!そう言っていただけて嬉しいです(o^^o)のんびり更新ですがこれからもよろしくお願いします! (2016年5月18日 6時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
自称 神木隆之介様 依存症(プロフ) - この小説大好きです!!更新楽しみにしてます!!頑張ってください!! (2016年5月18日 0時) (レス) id: dbd5180fdd (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - すずやさん» ありがとうございます!のんびり更新ですが頑張って更新していくのでよろしくお願いします(^O^) (2016年5月14日 0時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
すずや - すごい面白かったですー。更新楽しみにしてますー! (2016年5月13日 23時) (レス) id: eddc991718 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:鼎 | 作成日時:2016年4月12日 22時