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事務所からの電話に対応する坂下さんの横でホットミルクを啜る。
…甘い。
甘くて、暖かい。
「Aちゃん、かわってって」
差し出された携帯を取り、耳にあてる。
「お電話変わりました。Aです」
「今回の報道の事なんだけど、本当？」
ド直球な質問。でもその方がありがたい。
変に遠回しに聞かれても、私は逆に腹を立てていた気がする。
「本当と言えば本当だし、嘘と言えば嘘です」
と言うと？と返される。
「神木さんとお付き合いしているのは、事実です。けれど外では会わないようにしていましたし、職場が重なっても、意図的に一緒に帰ってきたりはしませんでした。写真は全て、たまたま外で会って、そのまま話しながら帰った時のものです」
思ったよりも冷静に答えられたことに自分でも驚く。さっきはあんなに苦しかったのに。
でも、体全体が心臓になったような、ドクドクと脈打つ感覚は消えないし、力が入り過ぎているのかなんなのか、手足が震えて声も震える。慣れない運動をした後に疲れて震えるような、普通の震えとは違う、バレるかバレないかくらいよ小さな震え。
「今のところ事務所としては本人に確認するって形を取ってるけど、どうする？否定する？認める？」
「…神木さんと、相談します」
「わかった。早めに連絡ちょうだい」
「はい」
そっと携帯を耳から離し、通話を切って坂下さんに返す。
坂下さんが心配そうな顔で私を見ている。
「帰ります」
「でもきっと外にたくさん人いるよ」
「変装します」
「バレるに決まってるじゃん」
「じゃあどうしろって言うんですか！？」
突然大きな声を出した私に驚く坂下さん。申し訳なく思いながらも、言葉は止まらない。
「電話で話せと言うんですか？私はこんな大事な事を電話で済ますつもりはありません！」
会える距離にいるんだから、会って話したい。会わないなんてもったいない。イマドキの物を使いすぎて、大事なものを見失いたくない。
「帰らせてください。駄目なら勝手に帰ります」
「…わかった。準備して」
その言葉を聞いてすぐに、私は着替えが入っている鞄に手を伸ばした。
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ハル - ありがとうございました。 (2018年1月22日 14時) (
レス) id: a6c0080ac7 (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - exkokesi83さん» ありがとうございます！（；；）そう思っていただけて本当に嬉しいです！ (2016年8月8日 11時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
exkokesi83(プロフ) - この作品読んで一番に思ったのが凄いでした。 (2016年8月8日 10時) (レス) id: 81cb6c4d50 (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - 鈴屋@アカウント死んださん» ありがとうございます！そう言っていただいて本当に嬉しいです（ ; ; ） 最近は焦りながら更新してしまっていたので、鈴屋さんの言葉が染みてきました。大切なことを思い出させてくれて本当にありがとうございます。変わらぬ質でお届けできるよう頑張ります！^ ^ (2016年6月6日 17時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
鈴屋@アカウント死んだ(プロフ) - この作品大好きです。人らしい感情というか主人公の自己嫌悪とかが上手く表現されてて毎度更新が待ちきれないです。ゆっくりで良いので今の質を保ってくれる事をねがっておりますます。応援してるので頑張ってください (2016年6月6日 0時) (レス) id: a27ad49a4b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼎 | 作成日時：2016年5月26日 23時
