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「カット！Aちゃんよかったよ！」
「ありがとうございます！」
これと同じ演技を、後何回か繰り返す。
素材はあればある程いい。使わなくても、足りないよりはずっといい。むしろ足りなかった場合は妥協した作品しか作れない。
事前に絵コンテを書いてきていても監督の気が変わる可能性もある。その時よりもっと良いアングルがあるかもしれない。
このシーンは、この作品の一番の見せ場だから、今日はずっと同じシーンを繰り返し演じていた。
「今日の撮影終わります、お疲れ様でした！」
お疲れ様でしたー！とスタッフの声が重なる。
今日はハードな撮影だった。
体調が優れないのに、良くやったと思う。誰か私を褒めて。
忘れた頃にやってくる頭痛と闘いながら日本刀を握っていた1日だった。
帰ったらすぐに寝てしまいそう。
今日は体調も精神状態もあまり良くない。はやく帰りたい。
はやめに帰り支度を済ませようと、控室に向かう。後ろから坂下さんと神木さん、神木さんのマネージャーさんが続いて歩いてくる。
そういえば神木さんの控室は隣だった。
特に神木さんと話すわけでもなく、ただ無言で歩く。
控室に着くと、神木さんはすぐに控室に入っていく。それに続くように自分の控室の扉を開けた。
「…え？」
明らかに違う。今朝使った時は綺麗に片付けてから控室を出たはずだ。
仮にそうではなかったとしても、この状況はありえない。
「Aちゃん？どうしたの…」
私の後ろから部屋を覗き込んだ坂下さんも言葉を失った。
物は散乱していて、私服もグチャグチャに汚れて、切り刻まれていた。コピー用紙に、赤で書かれた文字。あのときポストに入っていたコピー用紙に書いてあったのと同じ言葉。
"殺す"
部屋中に貼られたコピー用紙には、全て赤のインクで"死ね"、"消えろ"、"ブス"など、小学生レベルの定番の言葉。
普段の私なら軽く流せた。
でも、今の私は弱っていた。色々なことがありすぎて、自分の中で整理出来ないでいた。
「…っ」
グラリと視界が歪む。グルグルと見えているものが回る。今自分は立っているのか、座っているのか。激しい耳鳴り、頭痛、胃痛。胸が苦しくて、ハッと息を吐き出す。自分が息を止めていたことに気付いた。
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mari(プロフ) - 鼎さん» わかりました！！ありがとうございます。 (2016年4月8日 0時) (
レス) id: 0155b92c5f (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - mariさん» オリジナルの苗字は使用していません。読者様に自由に設定していただけるようになっています。ですので、主人公ちゃんには苗字の設定をお願いします！ (2016年4月5日 6時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 物語に使われているオリジナルの苗字ってなんですか？ (2016年4月5日 0時) (レス) id: 0155b92c5f (このIDを非表示/違反報告)
鼎(プロフ) - 由璃香さん» 嬉しいコメントありがとうございます！のんびり更新ですが完結まで頑張りますので、これからもこの作品をお願いします！ (2016年4月3日 17時) (レス) id: 50123c4a48 (このIDを非表示/違反報告)
由璃香 - この小説、凄く面白いです！文章がとても綺麗で感動しましたっ！感情が複雑なのに理解しやすくて読みやすくて…。更新頑張ってください！楽しみにしています！ (2016年4月3日 15時) (レス) id: 3786959345 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：鼎 | 作成日時：2016年1月9日 8時
