【名探偵コナン】世界でたった一人の大切な人

不安 ページ24

「………アイツは元気にしてんのか」


『えぇ』


「ちゃんと飯食ってんのか」


『食べてますよ』


「…………俺のこと、忘れたとか、ない…よな」






それはずっと抱えていた松田の不安。



自分はAにとってちっぽけな存在だったのだろうか。どうして何も言わないでいなくなったのだろうか。

考えれば考えるほど、ネガティブな考えにしかならない。Aにとって自分はその程度のものだったんだと。



(俺はお前がいないだけでこんなにも参っているのに)





『………』




その言葉を聞いてAは気づく。
その言葉に詰められた、数々の不安を。松田の心の中の本音を。




そうか。私はずっと松田のことを守ることだけを考えていた。松田の気持ちをずっと考えていなかった。


……でも私にはどうすることもできないのだ。




今回ばかりはどうしようもない。貴方の不安を消し去るということは貴方の前に現れるということ。きちんと自分の言葉で伝えないといけないということ。




無理だ。




貴方に”会う”わけにはいかない。

楽にすることはできても、消し去ることはできない。




『……………忘れてないですよ。ずっと…何をしていても、貴方のことを考えている。


いつかまた会える日がくる。その時、全てを話します』





きっとその時は組織が壊滅する時だから。
警察官の貴方に犯罪者として会う時だから。




悲しいけれどそれがきっと私の運命なの。残酷な運命だったとしても貴方に逢えたことが何よりの幸せ。

貴方と笑い合い、時に喧嘩し、一緒にご飯を食べた。



そんないつもの日常が、こんなつまらない人生に花を咲かせた。
そして貴方とまた喋ることができている。




それは貴方の幼馴染みとしてではないけれど。
それでも私は誰よりも幸せだと思う。







君と出逢えて本当に良かった。





貴方が不安に思うことなんて何一つないよ。

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