愛してその醜を忘る【短編集】

貴方の側で:粗品 ページ5

『あ、おはよ』

「ん」

『もうちょっとゆっくり寝てて良かったのに。
久しぶりのおやすみなんだから、』

「ええねん、言うてもう10時やし」

こっち来て、と手を伸ばす彼の上に向かい合わせて座る。背の大きい彼だから いつも見上げないと目が合わないけど、この時だけは私が少しだけ見上げられるんだ。この時間が、すごく好きで。

『ふふ、こうやってくっつくのも久しぶりだね、』

そう言って何回か口付ける。

「ごめんなあ、あんま時間作れてなくて」

『ううん、ちょっとでも時間があるならいいの。』

重い空気にしたくなくて ボサボサの髪の毛を触る。

『もう、どうやったらこんなボサボサになるの？笑』

「もうわざとや 笑」

『セットするの大変じゃない？笑』

「面倒くさい。笑」

『えへへっ、 笑』

笑い合った後 どちらからともなく抱き締め合った。

『あ、そうだ
なおくんお腹空いてない？』

首をなおくんの肩に預けたまま問い掛ける。

「んー…まだ微妙」

『ふふ、お腹空いたら言ってね』

「うん ありがとう」

『…やっぱり、ゆっくりできるのっていいねぇ、
私インドアだから余計にさ。』

「たまには、ずっとくっついてるんもいいな」

軽く私の背中を撫でる手にキュンとして 堪らなく好きなんだと改めて感じた。

『…ねえ、』

「ん？」

『今日、一緒にお風呂入ろう』

「久しぶりやな、一緒に入ろか」

お風呂に入るのが楽しみになったけど、でもその前に。

今日は1日中一緒にいられるんだ、まずは目の前の楽しみを ゆっくり楽しもう

『朝御飯にしよっか』

「うん、やっぱりちょっと腹減った」

『へへ 笑
ちょっとまってて、作ってくるね』

「あー…俺も手伝う」

なんて一言に 彼も少しは寂しかったのだろうか、と 嬉しくなった。

私ね、今日も貴方の側に居られて幸せだよ。

サヨナラバス:石橋遼大→←眠れなくて寂しい時には:新山士彦

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