肆・神様は旦那様【QK】

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「頑張れ、河村くん。」

最終問題となった問題を読み上げる河村くん。
涙声に彼のこの大会にかけてた思いが込み上げてくる。

大会長からの、挨拶も涙を耐える彼とは裏腹に
私は裏で号泣していた。

「楽しい大会だったな〜。」

私は、学生達を見送り控え室を片付けていた。
みんなキラキラと輝いていた。
学生一人ひとりに「ありがとうございました。」と声をかけてもらい、
こちらこそありがとうと、目を潤ませた。

学生達もだが、うちのスタッフも生き生きとしていた。

「みんな、凄いなぁ。」

チクッ

「ん？」

何故か胸が痛んだ。


トントン

「Aさん？終わりましたか？」
「あ、河村くん！お疲れ様。」

ひょこっと顔を扉から出したと思うと、
周りを見渡し部屋の中に入ってくる。

ギュっ

「河村くん？」
「Aさん補給中です。」

気を張っていたのだろう、
私を抱きしめる彼の腕が少し震えていた。
私は肩口に置かれた彼の頭を優しく撫でた。

「…目赤いですね、泣きましたか？」
「うん、大会長の熱い気持ちに
心打たれまして泣いてしまいました。」
「…恥ずかしい、カットしてほしいな。」
「ダメダメ、あそこは絶対使うよ。」

皆に知って欲しいもん、河村くんの見せたことない一面。
この大会に、そしてクイズに
真面目に向き合っている彼を世界に知ってほしい。

クイズは君を知る…それは彼にも通じる言葉だ。

「本当に、いい大会だったね。
学生のみんなも、スタッフもキラキラしてたよ。」
「うん、みんなのおかげ。感謝しかないよ。」

優しく笑う彼の頭の中はきっと、
次の舞台や仕掛けがたくさん溢れている。

どんどん進化するQuizKnockに、
私はなんだか取り残されていく気がした。

「うん、みんな凄いね。」

感動的で嬉しい日のはずなのに、
どうして少し心が痛むんだろう。

私は、その痛みの原因に気づかないふりをした。

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