イメージ・プレイリスト2【JW青桃/赤緑】

３７ ページ37

.






「それって、どういう気持ち？」


「…内緒」




体調が悪いわけじゃないと分かったらしいが、
イマイチ俺の気持ちには近づけない流星が
素直に言葉で問いかけてくる。

しかしそこで素直に答えられる俺じゃない。


運良く電車が止まってドアが開けば
俺たちの最寄駅。


流星の質問には悪態で返しながら、
ホームへとすぐに出た。


改札を抜けて俺たちの帰り道を歩く。

隣にいる流星は
俺の気持ちを当てようとしてるのか
無駄に話しかけずペースを合わせて歩いていた。



そんな時。

流星のポケットから鳴る2つの通知音。


無言が苦ではないらしいものの
俺の様子を見て手持ち無沙汰になった流星が
ポケットへ手を入れたのが横目で見えた。



(もう。今は俺を優先しろや。あほ流星)



素直じゃない自分を棚に上げたくせに
今更紙袋2つ分の距離まで憎らしくなってくる。


だからつい抵抗するように歩く足を止めてみれば、
携帯を持ったばかりの流星がすぐに振り向いた。




「望？」


「…今日は、家まで送って欲しいんやけど」


「え？ あ、おん。そのつもりやけど…」




いや。そこは帰したないって言えや。


せめてもうちょっと居たいとかさ。

もう何年も連んでるけど、初デートやのに。



可愛くないワガママな気持ちが生まれながら、
当たり前に送るつもりでいた流星の成長に
100歩譲って及第点を与えておく。


それから煮え切らない自分の感情がウザったくて
今日唯一のライバルであった
流星の携帯を顎で指しながら手を出した。

３８→←３６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す