あかん、めっちゃ好き。【赤緑】 (ページ42)

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［あかん、めっちゃ好き。］ページ42

赤side

「神ちゃん」

「あ、やっほ」

校舎を出てから最寄りまでの道のり。

その途中で待ってくれてる神ちゃんを見つけて
軽い足を動かして駆け寄る。

「電車行けるかな」

「行けるやろ多分」

何年も隣で並んで歩くふたつの影。

そのまま付かず離れず進んでいけば
心地よいテンポの会話と一緒に
最寄り駅から電車へと乗り込んだ。

相変わらず下校ラッシュである車内は人が多く、
当たり前のように彼を引き寄せて距離を縮める。

「ちょっと、しげ」

「だいじょーぶ」

照れ隠しで抵抗してるだけで
本気じゃないのは分かってること。

だからこそ引くことなく押して、
こっそり手を握ればパチンと瞬きする目。

「んもう…ズルいなぁ」

「神ちゃんにだけ、な？」

イタズラっぽく笑って答えれば
耳を赤くしながらムッと睨んだ可愛い顔。

それでも解かれることない手に
ぎゅっと力が入ったのが分かった。

ガタンゴトンと揺られて家の最寄りにつけば
2人揃ってラッシュから解放される。

ホームを降りて改札を出れば
またしばらくは同じ帰り道。

さっきと違うのは
同じ制服の生徒がほぼ居ないことくらいだ。

それでも……だからなんだろうか。

「しげ」

「ん？」

小さい頃に2人で探検して見つけた隠れ道。

人も居ないそこへ入った途端、
いきなり神ちゃんが歩みを止めた。

振り返って俺も立ち止まれば、
一度顔を逸らして戻ってくる視線。

それからカバンの肩掛けの部分を握っていた手を
おずおずとこちらへ伸ばしたあと。

「手、また繋ぎたい…」

精一杯の勇気を振り絞ったように
神ちゃんがそう告げた。