あかん、めっちゃ好き。【赤緑】 (ページ37)

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緑side

「え？」

「神ちゃんと夏の海デート。
俺、それだけで結構テンション上がってるんやけど」

潮風に当たったしげの黒髪が揺れて、
眩しい太陽に負けないほどの満面の笑み。

片頬の上には俺と同じえくぼが浮かんでいて
キュンと胸が熱くなったのが分かった。

「なんか……ズルいな…それ」

「なんでぇよ。笑
それより海の家行かん？
神ちゃんが食べたがってたかき氷あるから！」

俺も別の味にするから半分こしよ。

そう言って立ち上がったと思えば
手を掴まれて一緒に飛び出したパラソル。

そのしげの一つ一つに
まるで夏の魔法がかかったように
＂好き＂が確かに胸へ生まれていく。

「ほんま、なんかもう…溺れそうやな。笑」

「なにが？」

「んーん。ほら行こ？
俺フランクフルトも食べたい」

「めっちゃええやん！」

いつもなら触れず離れずの近さで歩く俺たち。

それでも今日はそんな無粋なことは
言いっこなしだ。

「しげ」

「ん？」

軽く握られた手を離されないように。

じわっと上がる体温さえ夏のせいにして、
少し驚いたしげへとびきりの笑顔を見せた。

「めっちゃ楽しもうな。海デート！」