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緑side
「おっ。流星たちもう乗ってるやん」
「ほんまや」
受付も済ませたのか、
嬉しそうに海へ入っていくのんちゃん。
横に並んでる流星も普段の表情ではなくて
離れた距離からでも楽しんでるのが分かった。
「しげも泳いできてええんよ？」
俺はカナヅチで
1人だと浅瀬で足を濡らすくらいしか無理。
打って変わってしげはカナヅチどころか
全然すいすい泳げる人なのだ。
だから俺のせいで我慢してほしくなくて、
もう一度伝えてみれば「んー」と曖昧な声を出された。
「ならあとで行こうや。神ちゃんも一緒に」
「え？」
「浮き輪持ってきてるやろ？
俺が絶対離さんから、一緒に入ろうや」
去年みたいに。
そう、俺を覗くように聞いてくれたお誘い。
しげの言う通り去年使った浮き輪は
ちゃんとバッグの中に入っている。
「それなら……入っとこうかな」
「やった」
「でもそれはそれとして…
しげが好きに泳げんくない？」
元々しげものんちゃんと同じで
もっとはしゃぎたいタイプのはずやのに。
何より去年2人で来たせいで
俺に合わせて存分に泳いでないしげを懸念して
今回あの2人を誘ったと言っても過言じゃない。
なのにしげまで残ってたら
本末転倒というか…
「なによ神ちゃん。
そんな俺のこと追い出したい？」
「違うよ。俺はただしげも楽しんでほしいなって」
「なら楽しんでるよ。めちゃくちゃ」
「泳いでないのに？ 海やで？ まだ醍醐味なしやん」
「うん。でもさぁ…そもそもこれはデートやろ？」
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
