［夏と海］ ページ35
緑side
「うわぁ〜！ きれー！」
「今年も晴れて良かったなぁ！」
月曜日を入れた三連休。
その最初の休みとなる土曜日に、
俺たちは向こうまで広がる海に来ていた。
夏のシーズンに入ってるそこは
地元じゃそこそこ有名な場所。
だから俺たちのように海水浴に来ている人も多く、
浜辺には海の家がいくつか並んでいた。
「やっば！ サーフィンあるやん！行こうや流星！」
「なら先にサーフボード借りに行こ」
もちろん。今年はしげと2人じゃない。
去年は都合が合わなかった流星とのんちゃん。
この2人も一緒で、
テンション高く流星の手を引いて
さくさくサーフィン場へ向かっていく。
「やっと行ったかあいつら」
「しげも行かんの？」
「俺はまだええねん。海の景色好きやし」
パラソル下を確保できたレジャーシートへ
俺と並んで座るしげ。
サンダルはポイっと脱ぎ捨てられていて、
開いたパーカーからは割れた腹筋が見えていた。
(っ……夏、やな…)
「ん？ どしたん？」
「いや、別に」
思わず浮かんでしまった劣情をバレないように
つい目線を外して水平線が広がる海へと移動する。
年々、逞しく大きくなっていくしげの体。
もっと綺麗で厚みのあるシックスパックにしたいと
意気込んでいた去年に比べれば一目瞭然で、
同じ帰宅部のくせに一体いつ鍛えてるのか
教えてほしいくらいだ。
しかしだからこそ未だ
裸のしげは見慣れなくて、
直視できなくて。
今だってしっかりドギマギしてしまったのは
俺もちゃんと男だって分かってほしいもんだ。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
