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赤side
「……確かに…しんどい、かも…」
「やっと自覚した？」
「ん…」
しんどいのは自覚すれば
倍増するマジックがある。
それは例に漏れず俺も同じらしくて、
力を抜いたまま神ちゃんへもたれかかった。
「ぅー…久しぶりやぁ」
「よしよし。保健室行こな？」
「んーん…まだこうしてほしい」
「でもベッドの方がええよ。連れてくから」
「いやや……神ちゃんがいい…」
無理強いせず受け止めてくれてる抱擁。
それこそが何より落ち着く方法で
恋しくなる人肌なのだ。
だから離れていかないように
腕を回せば悩ましげな声。
俺が更に近づいて
目を合わせばまた少し眉が下がった。
「そんな顔せんといてよ。
俺が意地悪してるみたいやん」
「離れたくないもん…ここにおって…」
「しげがしんどくなるんよ？」
「いいもん」
「でもなぁ」
確かに日差しも入らん廊下の地べたにいるのは
悪化する可能性がある俺にはよくないこと。
それは分かってるけど
今日の俺はちょっぴりワガママらしくて。
「神ちゃんはめんどくさい…？ こんな俺イヤ？」
「そんなこと」
「ならもうちょっとこのままおらせてぇや…」
気持ちだけでもパワーチャージさせてほしい。
今は神ちゃんに…引っ付いてたい。
そばに居てほしい。
「…あと、15分だけな？」
昼休憩が終わる5分前の時間。
ギリギリまで許されたその提示に
「ありがとう」とぼんやりした呂律で伝えておく。
神ちゃんも決まってしまえば割り切れるようで、
俺の楽な体制を探してまた抱きしめてくれた。
「悪化しませんよーに」
「うぅ…神ちゃんほんま好き…」
「ええ？ こんな時でも言うてくれんの？笑」
「うん……まだまだ足りんくらい」
「そっかぁ。ほんなら、元気になってから聞こかな」
「ありがと…」
柔らかく笑った神ちゃんが俺の頭を撫でて、
そっとおでこへキスされる。
くそ。いつもなら口にしてってねだれるのに。
それは神ちゃんも分かってるみたいで、
「早く治してね」って甘やかした言葉を伝えてくれた。
許された時間はあと少し。
ならば存分に寄りかかって、
抱きしめてさせてもらおう。
そんで。
元気になったら今度は俺から抱きしめて、
その優しい言葉が紡がれる唇にキスさせてな。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
