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緑side
ガラガラ
「どーも」
「……神ちゃん」
少し重たい放課後がやって来て、
気まずいまま音楽室へと入った。
律儀にもしげはそこで待っていて
俺を見て困ったように笑う。
「やっぱその子見つからんかったわ。
やから待つのもアレやと思って伝えに来た」
「そうなん？」
「おん。ピンクの子の方は多分居るんやけどな」
なんて。
鞄に入ってるであろうピンクの方を顎で指す。
するとしげはふわりと笑って、
白い手紙を持ってこちらへ近づいて来た。
どこか、ご機嫌な様子で。
それから一言。
「うそつき」
柔らかい口調で俺に向かって言い切った。
「なにが？」
「だってちゃんと来てくれたやろ。この子は」
そこまで身長差のない俺を覗くように
顔を傾けて手紙を胸へと当てられる。
目が合えば何故か口が動かなくなって、
種明かしをする前にしげが俺の手を掴んだ。
「久しぶりに貰っちゃったわ。
神ちゃんからのラブレター」
優しくて、嬉しそうな笑顔。
これは…
間違いなく俺の方がやられたってことか。
「なんで分かったん？」
「ん？ 文章の感じが神ちゃんやもん。
字の形は誤魔化してたけど……でもすぐ分かるよ」
大好きな人の手紙やで？
気付かんわけない。
って、ドヤ顔で言われるけど、
こっちは結構びっくりしてる。
だってそのニュアンスで
確信持って俺やってなんで分かるんか。
わざわざここに呼び出すまでして。
マジで俺の恋人は凄いというかなんというか…
「しげって……ほんまに俺のこと好きやん」
「えぇ〜？ なに当たり前なこと言ってんの」
「改めてやって。それにピンクの方は本物なんやで」
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
