あかん、めっちゃ好き。【赤緑】 (ページ28)

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赤side

「っ、」

「……」

最寄りの駅まであと数十メートル。

2人で帰る時は
朝より少し遠回りの道を選ぶから
同じ制服を着てる生徒はいない。

だからきっと気付かないだろう。

こっそり指先だけを絡めたって。

「…」

明るい表情で話してた神ちゃんが
静かになって唇をぎゅっとしめた。

そのすぐあとには、
微かに力が込められる指先。

応えるように手のひらまで一瞬合わせたあと、
恥ずかしそうにまた離れる。

それでもお互いの指は絡まったままだ。

「……今日は、乗り遅れるかもなぁ」

「ん…」

心臓をドキドキさせながら
ポツリと呟いてみれば頷いてくれる恋人。

許可をもらった足は
さっきまでの速度じゃなくなって、
心なしか歩幅まで狭まっていく。

お家デートもしたいから
乗り遅れるのは一本だけ。

時間にすればたった6分の差だ。

それでも俺らにとって特別な6分。

またこっちから手のひらを合わせて離せば、
「ふふ、」と柔らかく笑う声。

目が合えば多分俺と同じくらい照れた頬が見えて
胸の奥からぶわりと好きが溢れたのが分かった。

その、たった6分の中で。

どうやら俺はまた
このどうしようもなく愛おしい恋人に
惚れてしまったようだった。