［たった6分］ ページ27
赤side
友達と別れて校舎を出た帰り道。
いつもと同じ行き先へ進んで、
待っているであろう恋人の元へと進む。
「神ちゃん」
誰もいないのを確認して一声。
それだけで携帯から顔を上げた神ちゃんは
パッと振り返って俺に微笑んだ。
「おまたせ」
「ううん」
いつもの会話でいつもの表情。
なのに毎回その表情が可愛くて、
待ってくれてる優しさが好きで
小さな高鳴りを感じてしまう。
他から見ればほぼ毎日変わらない
ルーティンが繰り返されてるだけ。
だけど俺にとってこの時間は
2人だけの時間が始まる…
ちょっとしたデートの待ち合わせみたいなものだった。
「今日は神ちゃん家でゲームの続きしよや」
「ええの？ やった！」
今年あげた誕生日プレゼントのソフト。
1人でも出来るゲームだけど
2人プレイだとまた違う進め方があって
楽しそうだなと思って選んだやつだ。
本当はゲーム好きの神ちゃんがやり込める
難易度が高い1人プレイ用や、
流星たちも一緒に遊べる4人プレイ用があったけど
真っ先に除外したのは色々察してほしい。
山籠り癖がある上に大好きなゲーム。
そして神ちゃんの誘いなら
ほぼ喜んでやってくる小瀧の性格……
デートの時間が減るのは絶対嫌なのだ。
「今日はボスまで行きたいなぁ〜」
「行けるんとちゃう？」
「でもちゃんとミッションやりたいもん」
「全部クリアせんと無理やもんな神ちゃんは」
お家でゲームデート。
俺自身も自制してるだけでゲームは好きだから
やり始めればつい夢中になるけど仕方ない。
あくまで神ちゃんと楽しむことが大事なのだ。
それに。
デートっぽいことはゲーム中じゃなくても出来るし。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
