［愛妻弁当なんです］ ページ21
赤side
「あれっ？ しげお前今日弁当なん？」
「まぁな」
「へぇ〜珍し」
朝からずーーーーーーーーーっと
待ち侘びていた昼休み。
授業が終わった瞬間に取り出したのは
お目当ての弁当箱だった。
いつもは友達と購買に行くか
コンビニで買ったものだけれど
なにせ今日は一味も二味も違う。
友達も珍しい弁当にはすぐ気付いており、
内心自慢げに伝えるように返事をしておいた。
包みはシンプルな黒。
弁当箱は2段あって、
蓋が黒くて側面が赤にデザインされた
いたってよくある男子高校生のものだ。
「……」
「え？ なんで写真？」
大抵の奴なら蓋を開ける前の弁当箱なんて
こんな真剣に写真を撮るわけないだろう。
それでも俺にとっては
スペシャルでスーパーなお弁当。
「よし」
一つ言葉を置いてから
ドキドキする胸を抑えて
蓋を開けた。
「わ…」
1段目は白ご飯にシャケフレーク。
2段目のおかずは唐揚げをメインにした
俺の大好きなラインナップばかりだった。
中でもリクエストしていた
タコさんウインナーもしっかり2つ入っており
俄然食欲が上がる。
「おっ。確かに美味そう」
「な〜俺もその卵焼きちょーだい」
「やらん。なにもかも全部俺が食う」
「えっこわ。なにそのガチ顔」
当たり前や。
いつものご飯ならシェアしてもいいけど
今日だけは米粒一つもやりたくない。
「そんな怖い顔するってことはぁ〜…
お前もしかしてそれ、彼女が作ってくれたんか？」
「えぇ〜？ しげが彼女居るわけないやろ。笑」
「オカンやろどうせ。な？ しげ」
「ほんま美味そう…」
「おい聞けや。
否定せんってことはやっぱマザコンか」
今は外野になる友達の声すらフル無視して
とにかく目の前のご飯に集中する。
だってこれは大好きな大好きな恋人が
俺のために作ってくれたお弁当。
でもフル無視しながら
一応友達の話は否定したつもりない。
ただこいつらが
後者の方で盛り上がってるだけや。
普段は映えなど微塵も気にしない写真を
角度を変えて何度か撮ったあとすぐに手を合わせた。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
