［ボールがボン！］ ページ18
緑side
「うぁ！ 危ないッ！」
「へ？ あぶっ！！！！！！！！」
乗り気になれない体育の球技時間。
ドッチボールが始まったコートの隅っこで
気配を消していればいきなり焦った声と共に、
目の前で動くボールとは違う色が視界に入ってきた。
同時に強烈な痛みが右側の頬と頭にぶつかって、
クラクラするまま尻もちをつけば
床へ落ちるボールの音。
思わず顔を手で押さえれば、
何人かがすぐに近づいてきたのが分かった。
「神山ぁー！ ほんっまごめん！！！」
当てられたのは
隣のコートでやってたボールらしい。
それからすぐにクラスメイトが
勢いよく謝りにくるのが見えて。
「いや、全然…、っうー…」
「えっ…マジで大丈夫？ 見してみ？！」
「っ、おいちょお退け！！」
「ぐぇっ…！」
片目がまだボヤけた中で、
覗き込もうとしたクラスメイトを押して
しゃがんだのは隣コートにいたしげ。
名前を呼ばれて顔を上げれば、
心配そうなしげが見えて
そのすぐあとには怒るように眉を寄せた。
「っ〜〜！ お前ほんまっ！ マジで！！！！」
「うぉっ？！ なんでしげがキレんねん？！
そもそも俺ごめんって言うてるやんかぁ〜！」
「ちょっとしげ、俺大丈夫やから」
「いや赤なってるから！ 保健室行くで！」
俺が連れていく！と有無も言わさぬ態度。
更にはあろうことか背中を向けられて
嫌な予感に首を振る。
「自分で行けるから…！」
「頭打ってんねんから乗って。ほら」
心配なのは分かるが、
ここまで注目を集めるのは恥ずかしい。
しかしながら待ってるしげを見るに
絶対折れてくれない空気なのだ。
仕方なく恥を忍んで
彼の背中へと体を預ける。
その時にフラつきもせず立ち上がったのを見て
ちょっと悔しくなったのはまた別の話ということで。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
