［つまり、そういうこと］ ページ14
赤side
「なんか今日の神山くんおかしくない？」
「は？」
「ん？ どしたん」
「…いや。別に」
斜め前から聞こえてきた男女の声。
この世の何よりも反応する名前が出てきて、
思わず目の前の友達の会話を
放り出して声を上げてしまった。
とりあえず友達の話の続きを急かしておいて、
聞こえてきたクラスメイトたちの会話へと耳を傾ける。
「確かになんかちょっと違う？」
「体調悪いんかな。ボーッとしてない？」
「テンション低いだけ？」
「でもぽやってしてる気がする」
(ぽや？)
バレないように顔を動かして、
机に突っ伏してる神ちゃんを見る。
今日は寝坊して遅刻寸前だったらしくて、
先に行ってくれと連絡が来たままだったのだ。
それなのに俺とは一切目が合わなくて
盗み見ようとしてもあの体制のまま。
寝坊したのが本当なら
きっとゲームだと思う。
でも体調が悪いなら話は別だ。
(うわ……話しかけたい)
クラスメイト以上親友以下の幼馴染だと思われてる
この関係性が恨めしくて仕方ない。
こうなったら昼休憩は
またいつもの場所で2人で食べようと
連絡でもしておこうか。
そう思って携帯を取り出した時。
「神山くん大丈夫？」
「ふぇっ、？」
「なんか今日しんどそうやから」
「いや、っ、別にそんなことないで」
「ほんま？ ちょお、見せて？」
「っ！」
「おわっ、なに？」
クラスメイトが
神ちゃんの顔を見ようと近づきそうな予感に
ガタッと思わず立ち上がる。
思わず勢いのまま彼に近づけば
驚いた顔をした後すぐに逸らされる目。
しかしその瞬間。
自分の中でリンクした記憶が蘇って、
すぐさま神ちゃんの腕を引っ掴んだ。
「っえ……しげ？」
「…来て」
話しかけていたクラスメイトとの間に割って入って、
無理矢理立たせるように引っ張る。
「おい。どしたんしげ」
「え？ なになに？」
俺の動きに友達も驚いているが
ひとまず無視してとにかく教室を出たくて早歩きする。
普段なら笑って誤魔化す言い訳もすぐ浮かぶくせに
今はなにも出てこなくてただ黙るしか出来なかった。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
