［休憩ちゅう］ ページ2
赤side
「あーーもぉ課題めんどくさーーー」
「ちょ、口に出さんといてぇや」
集中力が切れてしまった頃。
未だ頑張ってテキストに目を向ける神ちゃんが
俺の言葉に眉を寄せながら顔を上げた。
「俺はまだやってんのに！」
「だってぇ。神ちゃんこそもうギブやろ？」
「がんばってはいる…！」
「はいはい。そんなん進まんて。
ほら一緒に休憩しよ〜」
「ちょっと」
ラグへ寝転ぶついでに
巻き込むように神ちゃんの腕を掴む。
やっぱり集中力は切れていたらしい。
意外にも抵抗されず
すとんと俺の方へと雪崩れ込んできた。
「…しげ、俺、重い」
「重くない」
手を絡めて体の上に乗る神ちゃんを見つめれば
モジモジし始める目線。
その、ありきたりな誤魔化しで
体を起こそうとする照れ屋なところが可愛くて
ぎゅっと体へ腕を回す。
「なぁ。これ、恥ずかしぃ…ってば」
ポロリと溢した本音に
口角が上がるのが分かった。
校則ギリギリまで染めてる
ブラウンカラーの髪を撫でてあげれば、
覗く耳がじんわりと赤らんでいく。
それはきっと俺も同じで、
ドキドキと大きく心臓が音を立てていた。
「神ちゃん」
ポツリと溢した声は
自分でも笑えるほど甘ったるい温度で、
分かりやすい本音に恥ずかしくなる。
けれど目の前の本人も
たちまち同じ温度の眼差しを向けてくれるから
甘えるように唇へと近づいた。
静かに触れたキスは
音もなくて
お互いの詰まった息しか聞こえない。
ほんの数秒重ねるだけの
柔らかなキス。
それでも少しだけの休憩と銘打った手前、
その先を求めるのは
絶対に許してくれないだろう。
だからもう一度だけ。
「っ、ん…」
いつもの離されるタイミング。
それに縋るように
繋いだ手に力を入れる。
そして今の体制から
数センチ顎を上げるだけ。
そうすればまた唇は塞がって、
微かに神ちゃんの目が驚く猫のように開かれた。
まだ、もう少し。
このまま終わらせないでいて。
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作者名：かみぶくろ
| 作成日時：2024年3月1日 23時
