30.嘘に決まってる、嘘だよ ページ30
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仕事。
月曜日。
定時終わりでひゃっはー！って思ってたその嬉しさもジェットコースターのようにすぐ下り落ちた。
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「……え」
和也「なにその顔」
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理紗は風邪だったらしい。
……なに、彼氏と別れたからショックで立ち直れなかったの？なんて
そんな想像。
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「え、なんで…」
和也「お嬢様に忠告しに来ました」
「え？」
和也「あなた、騙されてますよ」
「…？」
和也「松本に。」
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会社員がぞろぞろ出てくる。
その人混みに紛れないように、二宮さんから視線を離さなかった。
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まるで、運命のようで。
ドラマのようで。
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和也「松本は、アンタのことが好きなんだよ」
「…今更そんな嘘言われたって信じませんよ、二宮さん。」
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声を張り上げて放った言葉は真っ直ぐ二宮さんに伝わったようで。
驚いた顔してニヤと笑うから、なんなのって心の中で呆れる。
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和也「だから！…ばかなんだよ」
「ばかじゃありません！」
和也「いぃーや馬鹿だね」
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恋は盲目
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よく言うものだ。
盲目だからこそ、周りの景色が見えなかったのかもしれない。
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私は、潤くんに会うためだけに口実を作った。
前髪をわざとらしく斜めに切った。
気分が変わったからカラーリングをしてほしい。
髪が伸びすぎたから切ってほしい。
…すべて、1日で全てを済ませばよかったのに、私は済ませなかった。
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和也「信じないなら、信じなくていい」
「……え？」
和也「俺だって、智に聞いただけで本当のことかは分からないから。」
「…はい」
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バッグを持つ。
……早く家に帰りたい、と焦る心。
でも、二宮さんがこれから言うことを楽しみにしている自分がいる。
だって、絶対重要なことだから。
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和也「…松本に、彼女なんていないよ」
「…え」
和也「理紗…ちゃんの彼氏は」
「…」
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ゴクリと生唾を飲む音がやけにリアリティーに聞こえる。
……早まる心臓の音は、焦っていることを意味する。
もしかして、この恋はまだ終わってないのかもしれない。
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和也「理紗ちゃんの彼氏は、智、なんだよ」
「…」
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世界がとまる。
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感覚がしただけ。
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作者名：成瀬莉奈
| 作成日時：2017年8月23日 19時
