25.前髪、あなたも ページ25
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潤「はい、目開けてー」
「……あ」
潤「どーお？こんな感じでいい？」
「うん、ありがとう！」
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切った髪の残骸か私の頭に乗ってるのを見て、
サッサっと払う潤くん。
その横顔さえも鏡越しに惚れてしまうから。
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潤「…Aちゃん……いや、A」
「…へ」
潤「二宮とLINE交換しといて、俺とはしてくんないの？」
「…」
潤「しかも当人の二宮はA呼びだし？どういうことなの？」
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ギリ…と睨むような目つき。
その目つきからライバル視してるようなことが伺える。
……そんなに、不仲なの……。
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「……わかった、潤くんともLINE交換しよ、それでいいでしょ」
潤「うん、ありがとう。」
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満足したようにニコニコする潤くんはまるで天使で。
かわいくて、でもどこかかっこよくて、でも儚くて
……彼女なんて、理紗なんていなければ。っておもってしまう。
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潤「じゃあさ、この後駅前で会わない？その時交換しよ。夜の7時…」
和也「ねえ松本。もう注文終わったでしょ。客溜まってんの早く。」
潤「っち。あいよ」
「…行ってきていいよ」
潤「ごめん、代金…と。7時、ね」
「うん、はい。」
潤「ありがと、じゃ。」
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後片付けをする潤くんの背中。
その背中が逞しいようで、弱いようで、
なんだかよく分からないけど
でも、儚いのは確かだった。
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手を伸ばしても、触れられない。
そんな感じだった。
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バッグを持って、前髪を一撫でする。
…うん、いい感じ。
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和也「ありがとーござーましたー」
「あ」
和也「Aだ」笑
「どうも。」
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棒読みで客接待してたのは二宮さん。
エプロンしてる姿はかっこいいのに、口開きゃ棒読み棒読み。
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和也「前髪切ったね。」
「二宮さんこそ」
和也「うんまあね」笑
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壁にもたれてふふんと鼻を鳴らすのは
ほんとにかっこよくて。
気だるそうに伸びて鎮座してた前髪はなくて
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和也「…これも、なにかの運命かもね？」
「…いやいや」
和也「割と、あるんだよ」
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急に低い声になるとこ。
急に真面目になるとこ。
急に無駄にかっこよくなるとこ。
全部ずるいとこ。
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作者名：成瀬莉奈
| 作成日時：2017年8月23日 19時
