24.見たかった世界、見たくなくなった世界 ページ24
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潤「…で、ご注文は……って前髪尋常じゃなく長いから前髪だよね」
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そうそう、って頷くと了解って爽やかな笑顔して準備に行った。
…潤くんの残り香。
それが、また、涙が溢れさせそうにする。
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『俺以外の人にこの髪を触らせないでもらえる？』……ってさ。
さすがにかっこよすぎなしないか？
鏡越しに見えたその顔は、かっこいいの他言葉が出ないほどでさ。
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彼女持ちのクセして、そんなこと。
……言ったらダメでしょ。
期待しちゃうんだから。
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潤「お待たせ、んじゃ切るね」
「お願いしまーす…」
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この前には
視界を遮らなかった太陽が無かったのに、
今回はある。
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目を瞑るとまた不思議な世界。
潤くんが目の前にいる。
いるのに、目を開けたら開けちゃダメーって可愛く言われる。
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……好きな人の言うことは恐ろしいほど忠誠に従うわけで。
そう言われた日以来、開けたことなんてない。
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潤「ねーねーAちゃーん。」
「んー？」
潤「ちょっと、目開けてみて」
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そう言われて開けた世界は
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「……っ」
潤「どういうテイストで切った方がいい？」
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潤くんの顔越しに鏡が見える世界だ。
潤くんのかっこいい顔が目の前にあって
その奥に鏡が見える。
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鏡に少しだけ映る私の前髪。
それは綺麗に切り揃えられていて
……さすがプロと思わせる出来だ。
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潤「…パッツン？それとも流す？」
「…流してほしい…」
潤「はーい。じゃあまた目つぶってー」
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クシで梳かされる前髪。
それはまた、違う感覚がした。
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……もう、あんな世界見たくない、
これ以上、好きになんてなりたくない。
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親友の彼氏のことなんて…
好きになんて
なりたくなかった
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25.前髪、あなたも→←23.夏の、恋の、大三角...sideO
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作者名：成瀬莉奈
| 作成日時：2017年8月23日 19時
