03.すっかり常連 ページ3
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8月の終わりに１回訪れてから、1ヶ月に1回以上でその美容院に行くようになった。
大体、切りそろえて貰うかカラーリングしてもらうか、の二択だけど、たまーにバッサリ切ってもらうこともある。
……担当は、毎回毎回松本さん。
すっかり仲良くもなり「潤くん」「Aちゃん」と呼ぶ仲間。
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潤「また来た」笑
「ふふまた来ちゃいました」
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他の美容師さんは他のお客さんの担当持ってるから、私と潤くんの２人っきりって言っても過言ではない。
今の季節は冬で、茶色のコートを脱ぐと紳士な潤くんはそれを受け取ってハンガーに掛けてくれる。
かっこいい。
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サラ…と撫でるその手が愛おしい。
私の髪を見て、ニコニコと嬉しそうに微笑む姿だって愛おしい。
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でも、でもでも。
男らしさを兼ね備えてるところも。
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たまらなくすき。
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潤「いつ見ても素敵な髪の毛。」
「あは、そうかな」
潤「ずっと触ってたいもん」
「そんな大げさな…」
潤「大袈裟じゃないよ」
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いきなりときめかせてくるところとか、
そのことば言う時だけ真面目な顔になるところとか、
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ほんと、ずるいよね。
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「…」
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恋が始まった。
と気づいたのは確か春の季節だった気がする。
駅前広場にある木が、桜の木だった頃だから。
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春も、夏も、秋も、冬も、
どんな季節でも、どんな時でも、
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髪を伸ばして、わざと前髪切るの失敗したりして、
あなたに会う口実が出来るように、
毎回毎回そうやって会ってた。
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……美容院以外の場所では会えないから。
だったら美容院だけで会うしかないよね。
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そのためには、ここに来た理由。
「口実」を作らなければいけなかった。
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作者名：成瀬莉奈
| 作成日時：2017年8月23日 19時
