11.ハサミ持つ王子様は何処 ページ11
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二宮さんとLINE交換した次の日。
新しい自分に惚れ惚れしながら短くなった髪をブローする。
鏡に映る自分が自分じゃなく見えてくるからまた、不思議だ。
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そんな時だった。
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LINEの受信音がリズミカルに鳴った。
……その相手は二宮さんを指している。
なんだろう。と思いながらロック解除してLINEを開いて見ると
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(……えっ)
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お誘い、だった。
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何度も何度も読み返した。
目をこすって本当に二宮さんから来たLINEなのか確かめた。
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和也『会いたいんだけど、今から会えない？』
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文までもがかっこよく見えてきちゃうよ。
おかしいな、潤くんのことが好きなはずなのに。
自分が信じられないよ……。
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そんなこんなで、ファッションで大いに悩み、メイクに大いに悩み、
とりあえず、涼しげな水色のスカートと白と黒のボーダーTシャツにすることにした。
……気に入ってくれるかなんて分かんないけど、とりあえず、これが1番かわいい。気がした。
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待ち合わせ場所に指定されたショッピングモールの前に待つ。
待つ。
……待つ。
…………待つ。
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待つ。
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遅い。遅い。遅い。
かれこれ10分は待った。待ったはず。
……なに、あっちから誘ったくせに？
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こっちは暑いんですけど。
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それから更に5分後。
ようやく二宮さんが到着した。
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和也「ごっめん、さすがに遅れすぎたよね」
「大丈夫です、気にしてなんかいません」
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嘘です、めっちゃ気にしてます。
でも、二宮さんの私服がかっこいいから、正直それで全部許せるような気もした。
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和也「A」
「は、はい」
和也「…遅れたのは申し訳ないんだけどさ」
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進めた足。
ショッピングモールの自動ドア。
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和也「遅れたのにも、理由があるんだよ」
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自動ドアが開くと、ヒヤリとした空気が私たちを包み込む。
……それと同時に二宮さんがニコッと笑う。
ニヤリ、じゃなくて、ニコッ。
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和也「Aの好みのファッション考えてたら、気づいたらこの時間だよ」
「え……」
和也「ごめん」
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やめてよ。
ときめいちゃうよ……っ。
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作者名：成瀬莉奈
| 作成日時：2017年8月23日 19時
