ｶﾙﾃd『異常に酸素が回り始める』 ページ5
昼食の後。職員室に向かい猫又先生か直井先生を捜したが、両者用事があるようで不在だった。仕方ないので担任に訳を話せば、入部届を渡してくれた。
5、6限目の休憩時間に書き上げて、HRを終えれば放課後。流石にこの時間にいれば彼らもいるだろう。とAは再度職員室へ行った。
と、猫又の机を見ればそこには人が。
｢猫又先生と･･･男子3人？｣
Aの声に気付いたのか、背の高いツンツンヘッドが振り向く。
｢おっ！グッタイミーン｣
にししと歯を見せてニヤケ顔を晒された瞬間、Aは今朝の出来事と昨日の衝撃が重なり、クロちゃんが黒尾鉄朗だという事実にようやく気が付いた。
｢あぁ！？クロちゃ･･･じゃなくて貴方は！｣
｢ん？もしかしてこの子がクロの言ってた？｣
｢おや、随分と可愛らしい子が来たな｣
脇の2人とも目が合う。1人は坊主に少し厚い唇。大人な雰囲気の男だ。もう1人は2人に比べると比較的身長が低い。明るい髪色のベリーショート。
そして奥に猫又先生。
｢おぉ来たか。コイツの話を聞いて待ってたよ｣
目尻をあげてクシャリと笑うお爺さん。授業や校内イベントで何度か見た事はあったが人が良さそうな先生だ。
って、それどころじゃない！！！
｢クロちっ･････････黒尾鉄朗さ、先輩！｣
｢ぶっひゃっwwwどれだよwww｣
｢貴方──三年生じゃない！ですか！今朝思いっきり同学年だって！｣
｢んっふふwwwプライベートタイムに首突っ込んだ仕返しだ！｣
嬉しそうに笑いやがってこの野郎。膝蹴りカマスぞ出来ないけど。
｢なんだ？お前また何かやらかしたのか｣
｢またって何だよ！｣
｢お前ら職員室だぞ静かにしろ！｣
猫又先生にお叱りになられ黒尾がゲ、と止まる。Aは清々としてにやりと笑った。
｢輝基だったな。入部届を出すという事は、今日から音駒バレー部のマネージャーになるという事だがいいんだね？｣
｢はい｣
｢バレーの経験はあるかな？｣
｢･･･中学の三年間、バレー部のマネージャーをしてました。｣
まだ早いというのに既に設定されたエアコンから風がきて、Aのうなじまでの黒赤ボブヘアーを靡かせる。
｢そうか！でも一応今日は見学にしよう。動けるようにジャージかパーカーか羽織るかしておいてな｣
｢はい。分かりました｣
凛と佇むAの姿を見ながら、黒尾と他2人が『ほぉ』と感心する。どうやら何かの合格ラインに達したらしい。
そして黒尾が口を開いた。
｢よろしくマネちゃん｣
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作者名：KAME | 作成日時：2018年10月1日 18時
