カルテn『腰を浮かした先にいたのは二匹の烏』 ページ15
烏野高校の生徒達がようやく東京に到着し、音駒高校の正門前は人でごった返しになる・・・筈だった。
「うん?」
Aは合宿日誌に現状を書き終えて、正門に目を向けて違和感に気付いた。烏野高校の生徒が少ない、気がする。
どうしたのだろう。と首を傾げ、烏野の主将にでも聞こうかと体育館に置いたパイプ椅子から腰を浮かした、その時だった。
Aの耳が聞き取ったのは、女子の声。落ち着いた親鳥の様なものと、慌ただしい小鳥の様なもの。これは・・・
体育館から出て外に足を運べば、そこには烏野バレー部の女マネが二人いた。黒いジャージに白Tシャツ。いいね、うちは赤だから新鮮でカッコイイ。
「どうも」
左目近くのホクロを頬と一緒に浮かして微笑み、挨拶をする。調べによれば、黒髪眼鏡の親鳥は三年生、金髪の小鳥は同じ一年生らしい。
軽い会釈を受けた烏野女マネの二人はAの存在に気付き、ハッと赤い音駒ジャージに目を向けると、親鳥が小鳥の前に出て挨拶を返した。
「烏野高校三年、清水潔子です。今日から一週間宜しく御願いします」
清水の言葉に後方の小鳥が後を追うように、慌てて挨拶を繋げる。
「あふぇ、えっと、同じく烏野一年!谷地仁花でふす!よろしくオナシャス!!」
ぷるぷると震えている。勢いをつけて頭を下げた為、背中のリュックが後頭部を強打していた。大丈夫だろうかこの子は。
「輝基、Aです。音駒高校の一年生。先日入ったばかりで合宿は今回が初めてなんだ。だから楽しみ。こちらこそ宜しくね」
再度、微かに笑む。その佇まいを見た谷地が「ほあー・・・」と恍惚の表情を浮かべた。黒から赤にかけてのグラデーションが美しいボブカットに、目を奪われている。
そんな彼女を置き去りにして、Aは清水に違和感の正体を聞き出した。
「清水さん、烏野バレー部は全員参加しておられますか?間違いでなければ人数が少し少ないと思うのですが」
「ああ、それはウチの一年二人の事だと思う。全員参加だけれど、二人だけ遅れてやって来るみたい。」
「遅刻?二人も?」
「テストの補習なんだって。・・・ごめんなさい」
「いえ、こちらは問題ありませ──」
「オオッ」「あれはっあれはもしやスカイツリー!!?」
花園の会話がぶった切られたかと思いきや、烏野の二年田中と西谷が騒いでいる
「いやあれは普通の鉄塔だね」
「ぶっひゃひゃひゃひゃひゃ!!www」
冷静に解説する海に爆笑する黒尾。
響くな、あの笑い方。
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作者名:KAME | 作成日時:2018年10月1日 18時