ダサいのがバレたから、偽カノすることになった 4th【及川徹】

126話 及川side ページ22

あの夢を見た日から、日にちが経ち今日は月曜日。部活はオフだ。

あの夢を見てからというもの、無意識なのか多分違うと思うけどAちゃんを避け始めてしまっている。


近づいてしまったら、触れてしまったら……


俺は多分止まらなくなって、それ以上のことをやってしまうと思うから。


Aちゃんのためだと思って、あまり近づかないようにした。

だから今日も岩ちゃんと帰ろうかなーって思ってカバンに教科書とかを入れていた時、Aちゃんに話しかけられた。

「及川、今日さ……」

「？なに……」

「とおる先輩！一緒に帰りませんか……？」

なに？と聞こうとした時、花園ちゃんが俺の席までやってきて涙目でそう聞いた。

「あ、いやでも……」

「ダメなんですか…………？」

Aちゃんが何か用事があるのでは、と思い断ろうとしたら花園ちゃんの涙が溢れそうになってきた。
どうしよう、と思った時Aちゃんが貼り付けたような笑みを向けて言った。

「行ってきなよ。大した用事じゃないからサ」

そして教室から出ていってしまい、その背中を俺は見つめるだけだった。

花園ちゃんはAちゃんの言葉を聞いた途端パァアア、というように顔を明るくした。

「魅鳥先輩がそういうんなら、行きましょうよっ！そう言えば、美味しいパンケーキ屋見つけたんですっ！行きませんか？」

そんな花園ちゃんの話が耳に入ってこないくらい、俺は罪悪感を感じていた。

Aちゃん、泣きそうだったな……。

花園ちゃん(この子)はいつまで俺に付きまとうつもりなのだろうか。
俺とAちゃんが別れるまで？
俺が……花園ちゃんと付き合うまで？



迷惑だ。
というか俺はこの子と二人で帰る気は無い。


「……先輩？」

「っあ、なに？あ、そうだ。マッキーとかも誘ってかない？2人で帰るより皆の方が楽しいよ」

きっと、と念押しすると、いつもより低い声で俺の名前を呼ばれ近くの空き教室に行った。

そして入るや否や唇にふにっ、とした感覚が。




「……とおる先輩、キス、しちゃいましたねぇ？」

「……は」



待って本当になにやってんのこいつ。

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