ダサいのがバレたから、偽カノすることになった 4th【及川徹】

117話 ページ13

花園さんがバレー部を見学してから数日が経った日の放課後の部活。
花園さんが正式にバレー部のマネージャーとして入部することになった。


隣にいた未来ちゃんは怪訝そうな顔で舌打ちをしていて、それを見てまぁまぁ、と私は宥める。

花園さんは、周りに集まった皆を見て、改めまして……と、小さく呟き、自己紹介をした。

「は、花園香凛って言いますっ！よ、よろしくお願いします！」


喜んでいるような拍手はちらほら。
全体の様子を見る限り、あまり喜んでいるようには見えなかった。
及川は苦笑いをしながら、拍手をしてあげていたけど……。

花園さんもそれを感じとったのか、また涙目になっている。
だから泣くなっての！も〜！！

「じゃあ、花園ちゃんは2人に仕事教えてもらってね！この前教えてもらったから、ある程度は分かるかな？」

「はい！でっ、でも私怖いです……。及川先輩教えてくれませんか……？」

皆がトレーニングに移っていなか、花園さんは及川のTシャツの裾を引っ張り首を傾げる。

怖いって何？私らが怖いってこと？
え、待ってほんと何言ってんのこの子。

未来ちゃんは般若のような顔で二人を見ている。
だから怖いって！

「ｴｯいや、俺練習あるし、花園ちゃん頑張って！」

「うぅぅ……。じゃっ、じゃあとおる先輩って呼んでも良いですか……？」

明らかに嫌がっているのに、なかなか引き下がらない花園さん。やばい私キレそう……。

「花園さん。もうそろそろ仕事しよっか？」

「ひっ！わっ、わかりました……っ！じゃっ、じゃあ頑張ってきますね！とおる先輩！」

確かに笑顔は引きつっていたかもしれないけど、怯えることないと思うのだが。
及川も名前呼び許可してないのに、勝手に名前呼びで呼んでいるし……。

「やっぱりあの子殴るのが正解なんじゃない？」

「私もそんな気がしてきたよ……」



うぅっ、と泣き真似をしながら両手で顔を覆う。




.



私だって、名前で呼んでないのに……




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