ダサいのがバレたから、偽カノすることになった 4th【及川徹】

115話 ページ11

全員分のドリンクも作り終わった。
二軍の分はもう持っていったし、あとは一軍だけだ。

よいっしょ、とスクイズが入った籠を二人で分担して持ち上げて、レギュラーメンバーが練習している体育館へ運んだ。


丁度、一区切りついたのか体育館に入る私達を見て及川が休憩の指示を出す。


ドリンクを配りながら、ふと、あることに気づく。

「……ねぇ及川、花園さんは？」

「あれ、一緒に仕事してたんじゃないの？」

「いや、それがさ……＿＿」

花園さんがタオルを運びたい話を事細かに教えると、あちゃー、と額に手をあてる。

「まーでも、悪い子じゃなさそうだよ？」

「そー……かな……」

「そうだよ。頑張ってね、マネージャー(・・・・・・)」

「！……ん」

頭にぽんと掌を置かれる。
何だか心臓がムズムズしてくすぐったい。

私達の周りに小さな花が咲いた気がした。
だが、そんな空気を壊すように花巻君が叫んだ。

「俺のタオルねぇんだけど！？」

「あ、俺のタオルもないです」

「俺のも」

花巻君に続き、シゲと国見君も声をあげた。

「お前らなんか知らねえ？」

花巻君が振り返って私達に聞くと、未来ちゃんが答える。

「花園さんに頼んだはずだけど？他にもらってない人は？」

そして、周りを見渡し、貰ってない人を探す。

「花巻と矢巾と、国見、ぁ、渡もか。それと…＿＿だから、合計10人位」

人差し指で指しながら数えていく。

「そういや、何回か体育館になにか運んでんの見たぞ。でも、30分くらい見てねえ」

岩泉君の証言をもとに仮説をたてる。

これくらい時間がかかるってことは、二軍の分もやっていたのだろう。
そして、レギュラーメンバーの約半分の人数のタオルを持ってきていない。

なにかトラブルが……？


顎に手をあてて考えていると、今の出来事の原因となる子が入ってきた。



「お、遅れてすみませぇんっ！」




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