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***
「…今帰った」
「おかえりなさいませ−−様」
長い長い廊下をただひたすら歩く。
後ろを着いてくる使用人に苛立ちを覚えながら。
「今日も夕食は要らないから」
「!ですが…もう何日も口にされて…」
「要らないと言ってるんだ」
「……かしこまりました」
もう何日も何も食べてない。
ボクはこのまま飢え死ぬのだろうか。
「−−様。21時より大旦那様とのお話がございます」
「…わかった。ただし呼びに来なくていい」
分かったら早く部屋に戻れ。
そう冷たく言い残して自室へ入る。
そしてそのまま手洗い場に直行。
____もう僕の身体は限界を迎えていた。
空っぽの腹からは胃液しか出ない。
何度も何度も何もかもを吐き出した。
手には無数の吐きだこが出来ていた。
ぼくはただ、キミの1番になりたかった。
それは簡単なようで、とっても難しいことだった。
気づけば自分で自分の首を絞めていた。
「はは…おれ、ほんと…だめなやつだな…」
*****
「…テメェだろ。朝ぶつかってきたやつ」
鋭い目で睨まれ、薄らと涙が出てしまう。
「はひ…わた、私ですッ…ご、ごめんなさい…」
何度も頭を下げる。
すると、頭が重くなった。
「え?」
「…悪かったな。さっきはイラついてて…
そのッなんだ…俺にも非があった、…すまん」
そう言って頭を下げると去って行ってしまった。
「わ、悪い人ではないんだろうな…」
ちょっとぶつかっただけで謝るなんて律儀な人だ。
「ん?これ…何だろう」
黒髪の男子の落とし物だろうか。
小さく折り畳まれた紙。
内容は____________
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作者名:マルトメティー | 作成日時:2021年5月23日 17時