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story 86 ページ38
1度鏤められた記憶を
集めることにどれだけの
時間がかかったのだろう。
紫『でも、何がきっかけで…？急に？』
A『思い出せない自分が嫌で。気づいた時には身体が動いてて。』
廉『学校にも来ずに…なにしてんねんっ…』
A『私が記憶を無くしても、それだけ廉が大切で失いたくなかったってことなんだよ。』
廉『っ…』
A『あの丘に着いた時、頭痛が止まらなかった。でもいつだって頭痛が起こるのは廉のことを思い出そうとするときで。』
私の中で失いたくないという思いが
咄嗟に私を動かしたんだと思う。
A『あの丘が。私を呼び戻してくれた。』
廉『A…』
A『私にとって廉は居なくちゃ困る存在だから。失いたくなかったんだよ。』
紫『あの丘…？』
A『秘密かな、これだけは。私と廉の。』
いつだって廉がいて
廉を思い続けてきた。
この写真が私たちを繋いでくれた。
廉『ほんまに…おかえり…。』
A『ただいま、廉。』
待たせてごめんね。
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作者名：愛結綾 | 作成日時：2018年10月4日 9時
