好きだと素直に言えたなら Ⅱ《Ren.N》 (ページ36)

今日:4 hit、昨日:3 hit、合計:131,177 hit

story 84 : 廉 side ページ36

廉 side

雨の中震えるA。
場所を変えようと動こうとした時だった。

A『まっ…て…』

Aが俺の腕を掴んで止めた。
頭を抱えながら苦しむAを見ていられなかった。

廉『Aっ…無理すんな。』

A『…れ…ん…っ…』

廉『？！』

いま、廉って呼んだ…？

A『廉っ……廉、廉っ…』

廉『…Aっ…？』

A『廉っ…私…全部思い出した…っ…』

廉『ｯｸｯ…Aっ…』

抱きしめた。泣きながら俺を見るAを。
どれだけこの日を待ったんやろう。

廉『ほんまに…？ほんまに全部…？』

A『ここ…私たちの…大切な場所…っ…』

廉『…Aっ…』

A『廉が…私に約束してくれた…大切な場所…っ…』

もうあかんって思ってた。
Aが記憶を失って半年。
俺のことだけを忘れて、ずっと何しててん。
やっと…やっと…

廉『っ…あほ…遅いわ…。ほんまに…ｯｸｯ…』

A『廉っ…』

俺たちの間に空白の時間はなくて
記憶がない時もずっとずっと思いあって
離れることのないこの関係を…

廉『…おかえりっ…ｯｸｯ』

A『廉っ…ただいまっ…』

やっと…戻ってきた…