21.訓練 ページ22
・
リビングの先を左に曲がり、右側にある鉄扉の先の階段を降りていくと地下に繋がる訓練場へと連れていかれた。
『まず俺らで役割分担したんだけど、トラゾーには技術、体力作り。
クロノアさんには知識、
しにがみには社交的関わり、
俺は………まぁ作戦とか理解してもらえばいっかなーって感じかな』
ほんの数十分前に言っていたぺいんとさんの言葉に頷くと、早々にトラゾーさんに連れていかれ。
だだっ広い体育館のような訓練場は、様々な分野に別れていた。
ここは体術、向こうは射的みたいなものもあるから銃…向こうは剣術かな。
周りを見渡していれば、トラゾーさんにはい、と布を手渡される。
「……とりあえずそのワンピースじゃ動けないから、これに着替えて」
「あ…うん」
今日はトラゾーさんメインか、とりあえず彼の言う通りにやっておけば身につくものは身につくだろうし…
＿＿＿＿＿＿そう思っていたのが失敗だったのだろうか。
「えっ…と、」
「ほら、なんでもいいんですよ」
「そ、んなこと言われても……」
渡された短刀が震えてるのが自分でもわかる。こんなの今まで持ったことなかった、ましてや切る相手が人間だなんて。
私が戸惑ってるのも無理がないと思いたい。
"今から10分間、どんな方法でも構わないのでこのナイフで俺を切ってみてください"
そんなふうに言われたのが約3分前。
あと7分で何が出来る？…何も出来ない私に。
あぁ、どうしよう。
早々に心が折れそうだ。
そもそもこんな、何年も裏の世界で生きてきた人を倒せるかなんて無理な話。
………でもきっとここで折れたら、だめなんだ。一生生きていけない。
それに何も出来ないからと捨てられる可能性だってゼロじゃない。
ここは少し、自分なりに頑張ってみよう。
目の合っていたトラゾーさんから少し外して、手元を見る。
…相手は手ぶら…つまり体術メイン。彼は今までの記憶上右手をよく使っていたから利き手は右。
てことは、相手から見て左から後ろに、
「考えてても意味無いんです。その間に殺されますよ」
「っ、」
彼は別に動いてない。
だからこそ焦る。早く倒さなきゃって。
「……」
小さく息をついて、ナイフをもう一度握り直し
重たい足を持ち上げて走り出した。
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 77人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
かめそん(プロフ) - 羽鶴さん» コメントだけでなくお気に入りにまで入れてくれてありがとうございます…！とっても嬉しいです！これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします！ (11月11日 11時) (
レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 鳥籠の中面白かったです！夢主ちゃんが可愛いし、恋愛表現が無い所がお話を読みやすくてよかったです！お気に入り作者様に追加させて頂きますね、がんばってください！ (11月10日 16時) (レス) @page43 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：かめそん | 作成日時：2023年8月20日 13時
