13.放鳥 ページ14
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「夕飯、出来てますよ」
「…………いらない」
そうですか、とだけ言った彼は、そのまま立ち上がって静かに窓を閉めた。
揺れていた髪は動きを止めて顔に当たる。
それが別にうざったくもなく、避ける気もなく下を向く。
「………Aさんは、自由ってなんだと思います？」
ふと聞こえた声に、少し耳を傾けた…傾けてしまった。
彼の声はグループで一段と渋くて、低いけれどそれに恐怖は1度たりとも感じなかった。
多分、心地よかったんだと思う。だから、私は顔は上げず、耳だけ。
「…飼われた鳥を、ずっと閉じ込める訳にもいきません。放鳥といって色んな必要性が重なり合い、行われています。
それはどれも鳥のために。
鳥は、その間自分の好きなことをします。籠の中より遠くに飛んだり、おもちゃを使って遊んだり…それは自分の意思を持ってやるんです。
…まぁ、人間と鳥を比べるのはどうか。という話にはなりそうですが、」
こつん、となったのは、彼の靴裏。
「自由は誰しも持てる権利。
自分の意思を持ち、やりたいことをやる。
『何も無くなった』のではないんです。貴方は囚われが無くなっただけ。
鳥籠がなくなった今、
貴方は何をやりたいですか？」
思わず顔を上げてしまった。
声だけでなく、彼の顔も同時に見てしまった。
彼は私のことを見ていて、その顔はとても、
…とても優しくて。
「わ、たしはっ……
好きに生きたい…！
好きに生きて、生き抜いて、父親に会う。
私はまだ、死んでないって…言うために」
溢れる涙は、悲しさからじゃなかった。
ずっと思っていたその言葉を、彼は分かっていたように頷いて笑う。
「では、そのお手伝いをさせて下さい」
「………手伝い…？」
「えぇ。いきなり一人になって戦うなんて無謀です。
まずは仲間をつくり、あらゆる過程を踏んでからボスと戦いましょう。ゲームと一緒です」
ゲーム…、と呟くとまさか知らないの？なんて敬語が抜けた言葉が聞こえた。
父親の言いつけだ。これも。
心の中で嫌な気持ちが湧き上がるが、首を振って取り除いた。
「ね、だから、私たちと一緒に生き抜きましょう」
差し出された手を、払う気なんてさらさらなかった。
ぎゅ、と控えめに握ると、彼はそれを勢いよく引っ張って私を立たせた。
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かめそん(プロフ) - 羽鶴さん» コメントだけでなくお気に入りにまで入れてくれてありがとうございます…！とっても嬉しいです！これからも更新頑張りますのでよろしくお願いします！ (11月11日 11時) (
レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - 鳥籠の中面白かったです！夢主ちゃんが可愛いし、恋愛表現が無い所がお話を読みやすくてよかったです！お気に入り作者様に追加させて頂きますね、がんばってください！ (11月10日 16時) (レス) @page43 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かめそん | 作成日時：2023年8月20日 13時
