オーナー ページ47
しにがみside
「え、」
それは突然だった。17時までホールの仕事で、やっと上がりだと更衣室に入り携帯を見た時。
"15分前にSOSボタンが押されました"
その文字を見た時の、僕の焦りようは誰にも負けなかった。
急いでダウンを着込んで、制服のまま店を飛び出す。まさかSOSが来るなんて、しかも僕が仕事中だなんて、最悪だ。
どうしよう、何があったんだろう
押された場所は本当にこの近く。
この近くで、Aちゃんが苦しんでる。
そんな不安は徐々に大きくなって、涙よりも汗が先に溢れ出る。
そんな時だった。
「紫上くん！」
「お、オーナー…？！」
赤い髪を揺らす彼は、仕事着の制服とエプロンを着込んだまま、近くの住宅街を歩いていた。いつもあれほど制服で外に出るなと怒る、彼が。
それよりも、彼が掴んでいるその左手。
「…っ、Aちゃん…！」
「しにがみ！」
思わず僕は、崩れ落ちるようにその場に座り込んでしまう。僕があれほど求めていたAちゃんは、安心しきった顔で僕の方へと駆け寄ってくれた。
「え？もしかして知り合い？」
彼……もとい赤原智和さん。通称ともさんの声が響いた。
ちなみに彼は、僕が働いているお店のオーナーである。
「僕と他3人で育ててる海原Aちゃんです」
「……あ！前にキャラ弁持ってきてたけどその子？！うわぁ…こんなに大きくなってたんだ…
はじめまして、紫上くんのお店のオーナーの赤原智和です。」
そうAちゃんに挨拶したともさんは、すぐに真剣な表情をして僕にAちゃんと出会った経緯を話してくれた。
それと一緒に、他に育てている人にも連絡をしてここに来るよう伝えてと指示される。
「なにはともあれ、Aちゃんが無事で良かったよ」
「ほんとに…ともさんには頭上がらないです…ありがとうございました」
「あ、ありがとうございました！」
「ふふ、あんだけビービー防犯ブザー鳴ってたらねぇ？間違えた訳じゃないだろうしすぐに警察呼んで正解だったよ」
そう言って笑うともさんに僕は何度もお礼を言うと、彼は照れたように早く店に戻れ〜！なんて怒り出す。
……それよりも、店に戻るよりも、伝えることがあった。
「Aちゃん」
「………なぁに」
「ありがとうね、知らせてくれて」
ぎゅーっと離れないように、誰にも連れていかれないように抱きしめると、彼女は小さく頷いてくれる。
僕の口から安堵のため息が小さく漏れた。
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かめそん(プロフ) - カケラさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉ありがとうございます、、これからも更新頑張ります！ (2023年1月10日 14時) (
レス) @page40 id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
カケラ - いつもほっこりするお話ありがとうございます！癒しです。読んでてすごく優しい気持ちになれました！もうこれは優しい大人になるしかない！()これからも扉の隙間から応援してます！ (2023年1月10日 12時) (レス) @page40 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - 憂夢さん» コメントありがとうございます！お話読んでくださって、嬉しいお言葉まで頂いて幸せです、、！ありがとうございます！ (2023年1月9日 16時) (レス) @page12 id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
憂夢 - 小説読ませていただいてます！かめそんさんの日常組の小説大好きです…！いつも素敵な小説をありがとうございます！！これからも応援してます！ (2023年1月9日 13時) (レス) @page38 id: e4847ea383 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - かにかまさん» 新年初のコメント拝見でとても幸せな気持ちになりました、、、！ありがとうございます。これからも更新頑張りますので読んでくださると嬉しいです！ (2023年1月1日 2時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かめそん | 作成日時：2022年12月2日 20時
