血縁関係 ページ21
ぺいんとside
「………寝ちゃった…」
「………疲れてんだろ、最近6時間授業続いてるし」
夜寝れっかな、なんてぼんやりと考えながらソファで眠るAを眺める。
……やっぱ言ってくんないか。
「いつ気付いたんですか？」
「……なにが？」
「Aちゃんが泣いてたこと」
ドライヤーを片付けて戻ってきたしにがみに投げかけられた疑問にぴく、と身体が動く。
…バレてたのか。
Aからしにがみに目線を移して立ち上がれば、随分と真面目そうな顔が映る。
「…最初は分かんなかったけど、まぁ…風呂入った後、かな」
いつもだったらココアを入れたらもっと声に出して喜ぶはずだった。
それなのに渡してみれば小さくありがとうと呟くだけで美味しいの一言もない。
それに誤魔化してるのかわかんないけど、赤い目元。
ありゃ完全に黒だな、なんて考えながらキッチンに立っていた。
「……どうしたんだろうね」
「喧嘩でもしたんじゃねえかなぁ…仲直りしてたらいいんだけど…」
そっと顔にかかった髪の毛を避ければ、う、と眉を寄せてからまた寝息が聞こえてきた。
「ふふ……可愛いね」
「…だな、
俺らに話してくれてもいいんだぞ、A」
"話してくれよ、家族だろ"
なんて、言ってみたい。
本当は、血縁関係なんて関係ないと、でかい声で言いたい。
でもそれを言える立場なのはきっと、俺らじゃなくてAだから。
だからそれを言ってくれるのを待つしかないのは、ちょっとずるいかな。
「悔しいね」
「ん〜？」
「…家族って色んな形があるでしょ。僕らは普通の型から大きく外れてて、
でも他の家族と同じように生活してて、仲良くて。
……血が繋がってないだけで、他と違うなんて、悔しいよ」
ほんと。
そう強調するしにがみに、俺はそうだなと同意するしか無かった。
慰め方も分からない。
だって俺もそう思ってるから、その答えを言えるのはきっと俺らじゃない。
それも悔しくて。
雨の音が少し弱まったような気がして、窓に視線を移した。
しとしとと降り注ぐ雨は、きっとまだ止みそうにない。
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かめそん(プロフ) - カケラさん» コメントありがとうございます！嬉しいお言葉ありがとうございます、、これからも更新頑張ります！ (2023年1月10日 14時) (
レス) @page40 id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
カケラ - いつもほっこりするお話ありがとうございます！癒しです。読んでてすごく優しい気持ちになれました！もうこれは優しい大人になるしかない！()これからも扉の隙間から応援してます！ (2023年1月10日 12時) (レス) @page40 id: 9df188f843 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - 憂夢さん» コメントありがとうございます！お話読んでくださって、嬉しいお言葉まで頂いて幸せです、、！ありがとうございます！ (2023年1月9日 16時) (レス) @page12 id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
憂夢 - 小説読ませていただいてます！かめそんさんの日常組の小説大好きです…！いつも素敵な小説をありがとうございます！！これからも応援してます！ (2023年1月9日 13時) (レス) @page38 id: e4847ea383 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - かにかまさん» 新年初のコメント拝見でとても幸せな気持ちになりました、、、！ありがとうございます。これからも更新頑張りますので読んでくださると嬉しいです！ (2023年1月1日 2時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かめそん | 作成日時：2022年12月2日 20時
