6年目の誕生日 ページ9
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少し落ち着いてケーキを食べていれば、先程の言葉を思い出す。
………そういえば、というように私はフォークをお皿に置いた。
「さっきの、2人で祝うのやめるって……」
「んー……
別にマイナスなことじゃなくてさ」
彼はチョコケーキをフォークに乗せたまま、誤解を生まないように丁寧に言葉を並べていく。
「えっと、俺ら結婚して6年経つじゃん?」
「……?
そうだね、あっという間だよね」
「だよなー、こないだまで新婚な感じだったのに。
……じゃなくて、
……もちろんね、2人でもいいんだけど」
チョコケーキを口に入れて、こちらを見る彼は。
少し緊張していて、でも幸せそうな顔をしていて。
「………Aだけじゃなくて
3人でも4人でも………祝う人が多くなると
嬉しいな、って思っただけ」
「そんなこの家の人数が増えるなんて子どもができた時だけ………
……って、」
チョコケーキに目を向けていた私は、勢いよく彼のことをみた。
出会った頃より少し大人びた雰囲気の彼は、私の発言を優しく包み込むように笑っていた。
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作者名:かめそん | 作成日時:2022年10月8日 1時