百年以上前の話 ページ28
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「管理人やらせてもらいます!」
そんな声が山に響いたのは、もう何年も、何百年も前のことだ。
その声とともに来た噂は全く関係のないわたしのところまで届いた。
「あの小狐のところに管理人…?」
神同士の戦いを嫌い、なるべく平和にという阿呆らしい神が居たのは知っていた。関わろうとも思わんかったが、まさかそこに人間が来るとは思わなかった。
何気なしに気になってしまうのは、きっと人間だからだろう。
しかしそれに加えて管理人として来たのは若いおなご。
「おなごか…」
ふとわたしにも、過去におなごの管理人が来たのを思い出す。彼らはいつも神を狂わす天才だと何度も感じてきた。
会うべきではないのに、会わなくてもいいのに、
いつかを思い出して、小狐のいる山の方へと目線を移した。
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「へぇ、貴方ここにいたのね」
「…………は、」
それから何ヶ月か過ぎた時のことだ、噂の彼女がここまでやってきたのは。
なぜお前がそこにいる
そう考えても、それを言葉にする事ができずただ呆然と目の前に立つ。
このまま殺してしまおうか、
そう考えて、思いとどまる。
この神という世界にも規則は存在し、上下という立場によって回っている。
即ち人を殺せば罰がくだる。
「………なんだ、小狐のところのおなごが何故ここにいる」
「へぇ…ほんとにこんな感じなんだ」
わたしの問いに答える訳もなく森を見渡すばかりのこいつに、少しばかりいらついた。
と思えば、すぐにわたしの方に顔を向けて、
「ともから聞いたの!一切関わろうとしない神でも妖でもない、不思議な方がいるってね!」
「………」
彼女のその笑顔からは程遠い話に、ため息ばかり出てくる。
確かにわたしは神でも妖でもない
ただこの近くの村に祀られた石に住み着くだけの化け物みたいなもの。
…いや、元は神だった。ただ何処の神社にも属していない、ただの石っころに住み着くわたしは、もう神ではない。
それだけのことだ
だからなぜ、この中途半端なわたしに構ってくるのか、わたしには到底理解できない事だった。
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かめそん(プロフ) - りあ@プリ小説してまーすさん» わ〜!お久しぶりです!!読んでくださってありがとうございます!!!嬉しいです!! (2023年2月9日 19時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
りあ@プリ小説してまーす(プロフ) - 浮上さぼってた間に完結してる!!!!お疲れさまでしたぁ!!!!夢主ちゃん幸せに爆発して…(?) (2023年2月8日 9時) (レス) @page48 id: 3b49f92543 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - らんのうんさん» コメントありがとうございます!個人的に難しい作品だったのでらんのうん様にそう言って頂けて嬉しい限りです。ありがとうございます! (2023年2月8日 0時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
らんのうん - 完結おめでとうございます!かめそんさんの作品は以前から拝見させて頂いておりましたが、今作は特にtmさんにドキドキしてしまいました…!これからも応援しています! (2023年2月7日 23時) (レス) @page48 id: 2fe057f917 (このIDを非表示/違反報告)
かめそん(プロフ) - えにさん» コメントありがとうございます!初めてがこの作品だとは……!嬉しいお言葉まで貰えて完結出来たかいがありました…!ありがとうございます! (2023年2月4日 16時) (レス) id: e5672cfe47 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かめそん | 作成日時:2022年9月26日 19時