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朝、正門に入る直前で二人の人に声を掛けられた。






「カメちゃんおは…よ」
神「Aさん!おは、よう…」






『おはよう…ございます…』






重岡先輩と神山くん。






「えっ、誰?」
神「し、知り合い?」






息が合うのか、いろいろとタイミングが被ってしまっている。






『えっと、あの、同じクラスの神山くんです。それから、写真部の部長さん…です』






「あ、重岡っす」






制服の学年章を少し神山くんにアピールしている。






神「三年生…?あっ、そうやったんすか。同学年かと思いました」






その言葉に先輩は困ったように笑う。






“昼、屋上来てや”と囁き、軽やかに昇降口へ入っていった。






神「あ!今日日直や!お先に!」






再び自転車に跨り、先に行ってしまった。






一人になった。













「いつものおにぎりも美味く感じる!屋上って最高やなぁ」






青空の下で弁当を広げている。






食べにくいから、机の上に広げたかった。






でも、隣でおにぎりを食べる先輩が嬉しそうで、まあいいかと思ってしまう。






『食べながらは撮れませんよね』






屋上へ来たとき、“今日部活行けへん代わりに”と言われたけど。






「はは笑 鋭い。一緒に食べたいなと思ったんやけど普通には誘いづらくて。あ、部活休むのはほんまやけど」






教室にいるより屋上にいる方が、気持ちが軽い。






「…ところでさ、カメちゃんってクラスでいつもどんな感じなん?」






『一人で静かにっていう感じで、あ、たまに神山くんが話し掛けてくれますけど』






「あっ、そうなんや。…俺は誰かといるのが好きなんやけど、カメちゃんはちゃうの?」






『私は…一人でいる方が楽な気がして。というか、女の子たち特有のグループに入り損ねたからそう思うだけかもしれないですけど』






こんな後輩が写真部に転部してしまって申し訳ないな、と思う。






「あ〜、グループなぁ。一緒にトイレ行こ〜?ってやつな。一人で行けや!って思ってまう笑」






案外同情してくれる先輩。






『男に生まれていればよかっ、』






「いや!カメちゃんは女に生まれて正解やから!」






さっきより強めに言われ、戸惑う。






「…って、俺は思うけど」






小声でそう付け加え、ペットボトルのお茶でおにぎりを流し込んでいた。

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作者名:りんごといちご | 作成日時:2020年5月2日 20時

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