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午前中の種目は四つ。

プログラムを確認し、選手の邪魔にならない、でもベストな写真を撮れる位置にスタンバイする。






“只今より、団対抗リレーを行います。”






そうアナウンスが入ると、観客席にいる生徒たちが一斉に立ち上がって声援を送り始めた。

それを聞いて、私も気合いが入る。
……別に私が走るわけではないけど。






“位置について、よーい、……”

パァン!






始まりを知らせる空砲が鳴り、第一走者が走り出す。






その瞬間をすかさずパシャリ。下から撮ると、選手たちの力強さが際立って見えて、かっこいい。






盛り上がる観客席の方や、実況を頑張るアナウンス部の子にもカメラを向ける。






みんな、頑張ってるなぁ。






それはリレーだけではなくて、

玉入れ、大縄跳び、障害物競走でも、楽しみながら本気で挑む選手たちも同じだった。






私も一種目くらい出させてもらえばよかったかな、なんて思うくらい、みんなキラキラしていた。






「あっ!おったおった!」






『あ、先輩。お疲れ様です』






無事に午前の部が終わり、お昼を食べに教室へ戻ろうとしていたところで先輩に会った。






「どう?写真部大変やろ?笑 」






『大変…ですね笑 思ったより走り回りますし、日焼け止め塗り直す時間もないくらいで…』






「やんな!ちょっと焼けてんなーと思ってん笑」






先輩は、
“小麦色のカメちゃんも悪くないで”と、嫌味だかなんだか分からないことを言いつつ、
“午後も頑張ろうな!”と昇降口へ入っていった。






ご飯を食べたら日焼け止めを塗りたくろう、と心に決めたとき、






神「Aさん」






神山くんに声をかけられた。






このあと、ダンス部の発表があるからか、声に若干の緊張を感じる。






『こ、このあと、た、楽しみにして…ます』






なぜか緊張が私にも移って、ぎこちない感じになってしまった。恥ずかしい。






神「…うん、」






『神山くん?』






なんだろう。
もしかしてダンスがまだ納得いかない出来だったりするのかな。だとしたら、“楽しみにしてる”なんて言葉は気が重くなるだけ…?なんて言うのが正解なんだろう…。






神「なあ、Aさん」






『はい、!』






神「今から一緒にさ、ご飯、食べてええ?」






…え。






えええ!






それを言うのを躊躇っていたんですか、神山くん…!

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作者名:りんごといちご | 作成日時:2020年5月2日 20時

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