track89 ページ39
「…？……どういうことだ、類？」
「……悪い、俺にも分かる様に言って欲しい」
首を傾げた司君と同じように首を傾げれば「……君にも分からないことがあるんだね」と言われた。
それこそ俺も万能でも、全知全能でもない。
「あくまで推測の範囲だけれどね。こうして君は今を生きている、けれど前世で死んでしまったことを引きずって今を満足に生きれていない。それは妹さんを残して、のうのうと生きていることに無意識に負い目を感じているんじゃないかな？」
「……負い目、か…」
類君の言葉に目を伏せては考える。
……果たして、そうなんだろうか。俺は、妹に負い目を感じて死人だと、そう思っているのか…？
「…まぁ、お前のことはお前にしか分からねぇ。ただこれだけは言っておいてやるよ、お前は間違いなく生きてる。死人なんかじゃねぇ」
「……嗚呼、ありがとう東雲」
そう言って礼を告げたがあまり表情は良さそうではない。
「…その東雲っての止めろ、つか苗字呼びするな」
「殺さないか？」
「する訳ねぇだろ」
俺の言葉に即答した彰人君は何処か呆れた顔だ、だが最初は殺しそうな勢いだった気がするぞ。
「…まぁ、いいのであればそう呼ばせてもらう、彰人君」
「…おう、それでいい」
名前を呼べば少し笑って俺の頬を撫でる彰人君を見上げる、よく分からないがご機嫌そうだ。
「Aくん、僕達も名前で構わないよ」
「分かった、類君」
俺の顔を覗きこんでそう言った類君に頷けばまた嬉しそうに笑った。
名前を呼ぶだけで機嫌が良くなるなんて、言い方が悪いがちょろいぞ。
「―――ならA！また来るぞ！」
「嗚呼、見送れなくて悪いな司君」
暫く他愛もない話をしてから面会終了時間になれば帰っていく四人を見送る。
(――――……妹……心当たりがないわけじゃない)
ベッドに横になりつつ目をそっと閉じる。
最後の最後、妹が言っていたあの言葉。俺が聞き取れなかったあの言葉。
「――――……何て、言っていたんだ…？」
小さく呟くも、勿論返事は帰ってくるわけもない。
……知りたい、妹が、一体なんと言っていたのか。
そう思えばスマホを手に取ってメッセージを開く、とりあえず神様に聞いてみよう。
『神様、妹は最後になんて言っていたんだ？』
『なんだと思う？』
……なんだと思うと聞かれてもな、皆目見当もつかない。
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れんちゃ - もういつの間にか数年もたっていたんだな…続きをずっと楽しみにしてるよいつかまた戻ってこねぇかな (5月27日 1時) (
レス) @page50 id: 98fe1eda88 (このIDを非表示/違反報告)
のなめ - 最高です (2022年12月23日 15時) (レス) @page50 id: 2b5e96f834 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - 好きです。続き楽しみにしてます! (2022年5月21日 18時) (レス) @page50 id: 0a8dc521f1 (このIDを非表示/違反報告)
nana民(プロフ) - あんまりGLって苦手なんですけど主様のは全然welcomeです (2022年4月11日 15時) (レス) @page33 id: 52a3fcc53d (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - キャラ同士のCP込のやつってあまり読まないんですけど、好き。主くんの考え方も好きだし、鋭くてそれでも好意を受け取らないとか、最後の最後にちゃんと自分っていうのを確立できたような、文才から何から優ですわ… (2022年2月18日 11時) (レス) @page50 id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：＠黒
| 作成日時：2020年11月23日 10時
