検索窓
今日:4 hit、昨日:9 hit、合計:106,728 hit

track81 ページ31

「――――…東雲がサビに入る前の音で半音下がった、青柳は全体的に音程は取れてるがもう少し声を張れ。小豆沢、周りを気にし過ぎて歌から意識が逸れてる、周りは気にするな。白石はもう少し抑揚を意識して歌ってみろ」

ライブ会場の機材を使って通して聞くとまた家の機材とは違った聞き触りになる、早いうちから調整しておきたかったな。


「今の全員の声聞き分けられたの!?」

「何度も聞いた声だからな、ただそれ以外は完璧だ」

「…分かっていたことだが、やっぱりAは凄いな」

俺の指摘に驚いたように声を上げる杏ちゃんにそう答えれば冬弥君が小さく頷いた。

俺は俺の出来ることをしているだけなんだがな。


「…なぁ、一つ気になったんだけどよ。そのお前の呼び方、一々変えてんのは何かあるのか?」

「そう言えば一定ではないな、俺は青柳か冬弥君だが」

「確かに、苗字か名前だよね?」

「嗚呼、呼び分けをしてるだけだ」

リハーサルの合間に首を傾げつつ俺を見て問いかけてきた彰人君の言葉に全員が俺を見る。

確かに呼び方は意図として変えていたが、まさかそれについて聞かれるとは思ってなかったな。


「呼び分け…?」

「東雲の目の前で『冬弥君』、なんて呼んだら殺されそうだと思ってな」

「いや殺さねぇよ、どれだけ俺のこと物騒な扱いにしてんだA」

「……殺しは流石にしないとは思うが…何かは起こったかもしれないな」

俺の言葉に呆れたように彰人君はそう言うが首を振って冬弥君は付け加えた。

何かは起こったかもしれないらしい、やはり呼ばなくて正解だった。


「いや起きねぇよ」

「前の彰人なら起こっていた」

言い合いをする二人を見つつアイスコーヒーを飲んでは楽譜に視線を落とせば隣にこはねちゃんが寄ってきた。


「だ、大丈夫かな…?」

「大丈夫だろう、東雲からも青柳からも怒った感情は見えない」

心配そうに二人を見るこはねちゃんにそう言えば何か考え込んでいる杏ちゃんに視線を向ける。


「白石、何かあったか」

「………ううん!なんでもない!」

少し間が開いてそう言ったかと思えばいいことを思いついたと言わんばかりの笑みを浮かべてこはねちゃんを巻き込んで抱き着いてきた。


「あ、杏ちゃん!?ど、どうしたの…?」

「ふふん、両手に花でしょ?」

チラリと彰人君と冬弥君を見たかと思えば笑って俺を見上げた、使い方を間違えてないか杏ちゃん。

track82→←track80



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (152 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
256人がお気に入り
設定タグ:プロセカ , 男主
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

れんちゃ - もういつの間にか数年もたっていたんだな…続きをずっと楽しみにしてるよいつかまた戻ってこねぇかな (5月27日 1時) (レス) @page50 id: 98fe1eda88 (このIDを非表示/違反報告)
のなめ - 最高です (2022年12月23日 15時) (レス) @page50 id: 2b5e96f834 (このIDを非表示/違反報告)
- 好きです。続き楽しみにしてます! (2022年5月21日 18時) (レス) @page50 id: 0a8dc521f1 (このIDを非表示/違反報告)
nana民(プロフ) - あんまりGLって苦手なんですけど主様のは全然welcomeです (2022年4月11日 15時) (レス) @page33 id: 52a3fcc53d (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - キャラ同士のCP込のやつってあまり読まないんですけど、好き。主くんの考え方も好きだし、鋭くてそれでも好意を受け取らないとか、最後の最後にちゃんと自分っていうのを確立できたような、文才から何から優ですわ… (2022年2月18日 11時) (レス) @page50 id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:@黒 | 作成日時:2020年11月23日 10時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。