track52 ページ2
「A、おはよう」
「はよ」
「嗚呼おはよう」
次の日、学校に登校していると冬弥君と彰人君に遭遇した。
感情を読み取る限りでは今日は穏やかだな。
「A、今日の放課後空いてるか？」
「嗚呼、今日は空いてるが、もう調整するか」
「嗚呼、早く練習をしたい。四人で歌うのは初めてだからな」
三人で話をしながら登校していると正門が何やら騒がしい。
「…？……あれは、司先輩？」
「は？……変人ワンツーフィニッシュじゃねぇか」
「なんだその珍妙なあだ名は」
嫌そうな顔をして呟いた彰人君の言葉に思わず声を漏らす。
彰人君の方に視線を向けた時、「嗚呼、おはようAくん」と声が聞こえた。
「神代、お前何してるんだ」
「君を探していただけだよ」
「お前……知り合いなのかよ」
俺の問いの答えに何か探される理由があっただろうかと考えているとげっそりとした顔で彰人君が俺を見た。
何か問題でもあるか、知り合いと言うよりはお前と同じ介錯しただけなんだが。
「A！と冬弥もおはよう！」
「おはようございます司先輩」
一方で類君をそっちのけで会話を始めた司君、せめてここを退け。
「話なら教室で聞いてやる、せめて移動しろ」
「此処なら間違いなく君を見つけられるだろう？」
小さく息を吐きつつ校門を通れば俺の横に付いてクスクスと類君が笑う、お前にそこまでして探される理由が俺には思い当たらないんだが。
「おい、お前何したんだよ…」
「生憎俺も探される理由が分からない」
コソコソと問いかけてきた彰人君にそう答えれば「いやだな、昨日のこともう忘れたのかい？」と類君が首を傾げた。
「ッハ！そうだぞA！俺はまだお前のことを諦めてないからな！」
「…A、何があったんだ？」
「一斉に話すな聞き取れん」
五人でぞろぞろと歩きつつ玄関で靴を履きかえる。
教室に向かいつつ昨日あったことを掻い摘んで話した。
「――――……で、帰った訳だ」
「………ふーん…」
「………」
「どうした」
「「別に」」
さっきまで穏やかだった感情が色々と激しくなっている、一体何がお前らの逆鱗に触れたんだ。
「……フフ」
「抱き着くな、歩けん」
彰人君と冬弥君を見ていると後ろから誰かに抱き着かれた、声と腕からして類君だろう。
小さく息を吐きつつそう言えば何かがぷつんと切れるような音と同時に彰人君に腕を引っ張られた、なんだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 256人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
れんちゃ - もういつの間にか数年もたっていたんだな…続きをずっと楽しみにしてるよいつかまた戻ってこねぇかな (5月27日 1時) (
レス) @page50 id: 98fe1eda88 (このIDを非表示/違反報告)
のなめ - 最高です (2022年12月23日 15時) (レス) @page50 id: 2b5e96f834 (このIDを非表示/違反報告)
玲 - 好きです。続き楽しみにしてます! (2022年5月21日 18時) (レス) @page50 id: 0a8dc521f1 (このIDを非表示/違反報告)
nana民(プロフ) - あんまりGLって苦手なんですけど主様のは全然welcomeです (2022年4月11日 15時) (レス) @page33 id: 52a3fcc53d (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - キャラ同士のCP込のやつってあまり読まないんですけど、好き。主くんの考え方も好きだし、鋭くてそれでも好意を受け取らないとか、最後の最後にちゃんと自分っていうのを確立できたような、文才から何から優ですわ… (2022年2月18日 11時) (レス) @page50 id: b3cb4375d4 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：＠黒
| 作成日時：2020年11月23日 10時
