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「―――……すっげぇ」
今、俺の目の前には大自然、それが似合うほどに広大な緑が広がっていた。
遠くには青い空と、微かに地平線が見える。
「………おう、それは良いんだが俺つい十秒前に家で爆発事故起こしたはずなんだが?」
事の始まりはさっぱりだが、いつものように家の離れにある実験室で実験をしていた。
そしていつものようにトライ&エラー、まぁ爆発事故を起こしたんだが……――――
「……家はさっぱり無くなった、それどころか屋外かと思えば……紀元前一億五千年前か此処は?」
見渡す限りの緑・緑・緑……――――
(確かに考古学の知識はあるが、俺の得意科目は科学だっての)
そんなことを考えつつトントンと目の前の崖を降りていく。
「…?…妙に…人の形をした石像が大量にあるな…」
下に降りていくと同時に、妙に精密に作られているような石像が目に入った。
幾つか崩れてしまっている石像もあるが…。
(……まさか、あの実験の爆発のせいで俺だけ何か起こったー……なんてあったりすんのか?)
崖下まで下りてくれば崩れている石像のかけらを一つ手に取る。
「……さーてと、一体全体これがドッキリなのか、それとも現実なのか、どっちでもいいか」
そっと近くの岩の上に石像のかけらを置き、しばらく森の中を歩き進むもどう見ても文明の気配どころか人の気配さえうんともスンともしない。
―――まるで、人類が全員滅んでしまった、そんな様に。
「―――……科学が死んだ、この世界で一から作り直す……いいな、盛り上がるじゃねぇか」
暫く歩いた先に辿り着いた綺麗な海辺に腰掛けつつ、俺は笑ってそう言った。
高層ビルも、車も、テレビも、ましてや飛行機なんてものも存在しないこの世界で、一からこの手で全てを作り直す。
失われた科学を取り戻す?そりゃまた随分と面白そうなことじゃねぇか。
「こんなこと、ドラマか映画じゃなきゃ体験出来ねェことだな」
クツクツと喉を鳴らして笑いながら立ち上がり、小さく伸びをする。
「さてと…んじゃあまずは…衣食住の確保、だな」
振り返れば、今しがた歩いてきた森がこれでもかと生い茂っていた。
(衣は動物狩ってその皮で、食は野草と魚と動物の肉、住は…こればっかりはツリーハウスか木の上で暮らすか、だな)
今後すべきことを考えつつ、俺は森の中に再び足を踏み入れた。
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作者名:@黒 | 作成日時:2020年8月14日 18時