あなたの声２

41(おついち視点) ページ5

野菜を切りながらも俺の頭の中はさっきの事でいっぱいだった


Aちゃんが泣きそうになっていた曲ってだけでもツラいのに彼女はその曲を聴きながらどこか悲しげで愛おしげな瞳をしていた


そんなのを目にしたら抑えられなくなった

まだ君の心にはアイツ(雅孝)が居るの?

こんなにも君を想っているのに

醜い感情が俺の心に渦巻いて

抑えられなくなった


おついち「(これは嫌われたかなぁ〜……)」

そう思ったら胸が苦しくなる


彼女に嫌われたら俺はきっと息が出来ない


ゆったりしたメロディーが耳に流れてそれに合う歌声が鼓膜に響かせた


人数は多いがその中でボーカルは3人というのをAちゃんに聞いていたが確かにいい声をしている

3人ともいいバランスの歌声でこれは確かに人気が出るのは分かる

おついち「(今度、違う曲聴いてみようかなぁ)」


基本あまり歌は聴かないけれど、彼らの歌声が何故か頭に残る

料理をしながらそんなことを考えていたら、

弟者「あれ?今日はおついちさんが作ってるの?」


弟者がリビングのドアを開けて台所にいる僕を見て言ってきた

おついち「そうだよー♪もうすぐ出来るから手を洗ってきなさーい」

弟者「お母さんか！(笑)」


そんなやり取りをしていると、クスッと可愛らしい笑い声が聞こえた



そちらを見るとAちゃんがクスクス笑っていた


その笑顔を見てホッと胸を撫で下ろした


どうやらさっきのはもう気にしてないようだ


それはそれで複雑な感じもするけれど気まずいままよりはいいだろう


でも諦めたワケじゃないから



きっと君を夢中にしてみせるから

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