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わたし、メリーさん。「家族」って良いものなのね……。 ページ10




「……父さ……。」


「平和。」


 父さん、と呼ぼうとした僕の声を遮って、父さんが僕の名前を呼んだ。


 黙ったままの僕を見て、父さんは続けた。


「……父さんは、美奈子(みなこ)とは離婚した。その方がお前のためにも良かったと思うし、今でもそう思ってる。」


 美奈子。僕の母さんだった(・・・)人の名前だ。もう、母さんとは呼べないけれど。


「でも何にしろ、まずはお前に相談するべきだった。本当に、すまない。」


「……いいよ、もう。」


 辛うじてそれだけ答える。溢れ出そうになる涙を堪え、父さんと目を合わせた。父さんも、泣きそうだった。


「……。」


 カズが、僕の背中をそっと押した。僕はたまらず父さんに抱きつき、泣いた。


 もう母さんはいない。


 最近は「仕事がある」と言って、遅くまで帰ってこない日ばかりで、たまに早く帰って来ていてもすぐに家を出て行くような、そんな母さんだったけれど。


 僕にとってはこの世でただ一人だけの「母親」であり、小さい頃の優しかった母さんが、頭から離れない。


 でもこれからは、父さんと二人で生きていく。


 寂しいとは思わない。父さんが居てくれるから。


 なのに、目からは涙が溢れて止まらない。僕は言った。


「……父さん。これからも、宜しくお願いします。」


「平和……宜しく。」


 小さい頃の思い出。


 あの時も、母さんを含めて三人で「ずっと一緒」と約束したのだ。


 あの時の約束は、守られなかったけれど。


 これからは、ちゃんとその約束を守らなくちゃ。


 僕と父さんは視線を合わせ、ゆっくりと微笑んだ。


 夜風が吹き、メリーさんの長い金髪が揺れた。


__________________________________________


第一章 わたし、メリーさん。
  いま、初仕事をしているの……。

  完

わたし、メリーさん。いま、トシを見つけたの……。→←わたし、メリーさん。いま、三色トリオと接触しているの……。



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AYA - 初めまして。私も怖い都市伝説の中ではメリーさんが一番好きです。このメリーさん、優しくてほっこりしてきゅんしますね。話もとても面白いです。無理がない範囲で更新頑張って下さい。応援してます。 (2021年8月2日 18時) (レス) id: d783a40920 (このIDを非表示/違反報告)
麦カケ(プロフ) - 初めまして、こんばんは。メリーさんは怖いイメージですがこちらの作品のメリーさんは優しくてほっこりしました。お話とても面白いです!作者様のペース、無理がない範囲で更新等頑張ってください! (2021年2月2日 22時) (レス) id: ea0439ca7f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:藍沢 | 作成日時:2020年12月30日 18時

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