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「飲み物、追加しようかな」



料理を半分以上食べ終えた時、俺が言った一言。



「マコ、あの子呼ぶために必死だな」

「ちっ違うよ!ただ、温かいお茶飲みたいなと思っただけ!」

「はいはい、お茶ねー」



永嗣の言った"あの子呼ぶために必死だな"が図星すぎて、焦るし顔が熱いし。

それなのに、なんで俺は熱いお茶なんて頼んだんだろうって後悔した。



それでも、頼んだお茶を持ってAちゃんが来れば嬉しくて。

ちょっと浮かれたのも事実。


だから____気付くのが遅れたのかもしれない。


俺の目の前だったのに。


Aちゃんがお茶を置こうとした手と、空いたお皿を重ねようとしたメンバーの腕が偶然ぶつかった。



ぶつかった拍子で、傾く湯呑み。

溢れそうになる お茶。


まるでスローモーションのようだった。


危ない!って。


そう俺が思うより先に、Aちゃんを庇うように差し出された手と「Aっ!」って声が響いた。



パシャッ!と勢いよく差し出された腕に掛かったお茶。



「…っ!熱っ!」


ウッチーの声と


「篤人っ!」


Aちゃんの声。



「大丈夫!?冷やさなきゃ!!」

「あっつ…。っていうかAは?かかってない?」

「大丈夫。それより早く冷やさないと」



一瞬、何が何だか分からなかった。

目の前で起こったことと、なぜ二人がお互いの名前を呼んだのか。


赤くなったウッチーの手に、急いで おしぼりを当てながらAちゃんが俺たちに頭を下げる。



「みなさん、申し訳ありませんっ」



そう言ったAちゃんの声が震えてて。

泣きそうな顔してウッチーを見ていて。

ウッチーは、大丈夫だよって目をしてAちゃんを見ていた。



「…Aちゃん。ここはいいから先にウッチーの手、冷やしてあげて」

「はい…」



俺…、顔に出てないかな?

いつもどおりに言えたかな?


二人が俺の気づかないうちに、親しくなってるんじゃないかって。

本当は胸の奥が、ギュって締め付けられるみたいに痛いよ。




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かま(プロフ) - siwonさん» こんばんは。ありがとうございます(^^)これから本編でも長谷部さんカップルが登場して行く予定なので、そちらも楽しんで頂けたら嬉しいです♪ (2016年9月22日 20時) (レス) id: 3af0285f69 (このIDを非表示/違反報告)
siwon(プロフ) - かまさん、こんにちは。更新有り難うございました。長谷部さんうまくいってよかったですね。心が温かくなりました。また素敵なお話待ってます。 (2016年9月22日 13時) (レス) id: 15b77b320d (このIDを非表示/違反報告)
かま(プロフ) - siwonさん» こんばんは、コメントありがとうございます。長谷部さん、どうする?ってとこですね。また更新頑張ります(^^) (2016年8月20日 21時) (レス) id: 3af0285f69 (このIDを非表示/違反報告)
siwon(プロフ) - かまさん、こんばんは。久しぶりの更新ありがとうございます。長谷部さんヤバイですね〜。この後一体どうなるんだろう…。続きが気になります。「長谷部さん頑張って」って応援したくなります。 (2016年8月20日 0時) (レス) id: 15b77b320d (このIDを非表示/違反報告)
agnella(プロフ) - かまさん» なんかドタバタしてて可愛いです(o^^o)恋愛面ではリードされる方じゃないと思うけど、やる時はビシッと決めてくれそうですね(*^◯^*)彼女の方もふわふわしてそうなイメージがありますo(^▽^)oコットンみたいな(?)包容力のある人ってことです! (2016年2月7日 15時) (レス) id: 9be3da9e01 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:かま | 作成日時:2015年9月8日 21時

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